2002年 7月17日(水)
身近なシンガポール法務第42回[社会]
会社法
岡田ビジネスコンサルタンシー
岡田昌光
英国の“会社法”は米国の“会社法”の根底をなしています。
また、ひいては、日本の“会社法”にも影響を及ぼしています。
英国の“会社法”と米国の“会社法”の決定的差異は、自社株の買い戻しができる(米国法)か、できないか(英国法)にあります。
英国法では、自社株の買い戻しや、持ち株会社の株を買い入れることは、資本を株主に返すと見なされるため、認められておりません。
その理由は、いったん会社に投資され、そして、事業が始まれば、当然のことですが、債権者をもつことになります。この債権者に対する支払いが、賃貸料であれ、給与であれ、株主への支払いよりもまず優先されなければならないという事です。
一人の株主が、他の株主に株を売却しても、その企業の総資本額に変動はありません。
しかし、会社が自身の資本金で、ある株主から株を購入するとなると、その会社は、自らの資本を食いつぶすことになりかねません。
従って、債権者にとっては、債権行使のリスクが増大する結果となる可能性が出てきます。
前回の“株式会社”で述べましたように、今日でも、香辛料の産地として知られる、のんびりした風土のインドネシアが“Limited Liability Company”の図らずも“生みの親”であったのです。