2002年 7月10日(水)

身近なシンガポール法務第41回[社会]


株式会社

岡田ビジネスコンサルタンシー

岡田昌光

“Limited Liability Company (株式会社)”という呼称は、東インドで香辛料の取り引きをしていたヨーロッパ商人達が、使用し始めたのです。“東インド”とはイギリスおよびオランダが、かつて用いていた用語で、現在のインド、インドシナおよびマレー諸島の領土を指していました。

1600年になって、英国東インド会社がRoyal Charter(王室法)にのっとって設立されました。19世紀、英国が全インドを手中に治めるまで、インドの支配者は東インド会社だったのです。一方、オランダは東インド会社に参画し、現在のインドネシアであるマレー諸島を主として支配していました。

英国東インド会社は、香辛料貿易から次第に、羊毛、綿製品、武器、測量機器等、多種類にわたる商品を扱うようになりました。

元来、“Joint Stock”とは、商品を集積することを示していたのです。そして、航海ごとに得た利益を投資者間で山分けしていました。しかし時が経つに従い、“Joint Stock”は1年を基準として商品集積の記録をするようになったのです。

そして、1652年には長期資本として、“Joint Stock”を認識するようになり、“Stock”を取り扱う会社を“Joint Stock Company”と呼び、“株”を発行する様になりました。こうして、資本を長期に蓄え、あらゆる分野の商品を取り扱う貿易会社が設立されるようになったのです。

アジアでかつて英国の植民地だった諸国――インド、パキスタン、シンガポール、マレーシア、香港、スリランカ――の会社法は、英国会社法による“Limited Liability Company”が基礎となっています。

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