2002年 6月 5日(水)

身近なシンガポール法務第36回[社会]


不動産(2)

岡田ビジネスコンサルタンシー

岡田昌光

住宅用不動産法は、如何なる外国人といえども、シンガポール人をして、住宅用不動産を取得せしめ、シンガポール人である取得者に当該外国人の住宅として、不動産を所有させる事を禁止しています。

実例をあげてみましょう。あるシンガポール人が、ある外国人の名義人になり、信託証書に、このシンガポール人の名前で「セミ・デタッチ」の家を一軒購入したかどで、罰せられています。本件に係ったシンガポール人弁護士も不法に書類を作成し、くだんのシンガポール人の手助けをした罪で罰せられました。また、外国人も、自分自身の住宅を買い入れるためにシンガポール人に代行させた罪で、やはり罰せられています。

一方、シンガポールにけける外国人の不動産売却に制限はありません。

不動産の売買は、新聞紙上での広告、または、不動産業者を通じて行います。

不動産取得の場合、不動産業者に支払う手数料は、買い手が負担するのではなく、売り手が負担します。不動産を売却する場合、売り手は不動産業者に売価の1%から2%の手数料を支払うことになります。勿論、この率は話し合いで決まります。不動産の売り手は、買い手に一定期間内、通例、買い手が売り手に購入価格の1%の手付金を支払うと、買い手は選択権を得ることができるのです。デベロッパーではない売り手から不動産を買う場合、買い手は購入価格(すでに支払った手付金である1%を差し引きます)の10%相当の敷金を払って、選択権を行使します。そして、売り手側の弁護士に選択権受諾書に署名捺印した上で、この受諾書を提出します。この選択権が行使されたとき初めて、買い手、売り手の契約が成立するのです。

売り買いのやり取りが終了するのに普通、10~12週間かかり、この間、買い付け資金をローンで手当てするなら、そのめどは付けておかなければなりません。最後に買い手は売り手に購入価格の残額の90%を支払うことになります。

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