2002年 5月29日(水)

身近なシンガポール法務第35回[社会]


不動産(1)

岡田ビジネスコンサルタンシー

岡田昌光

産業もしくは、商業に係わる土地、建物、工場といった不動産で、それが非居住地域のものは、外国人でも何らの規制を受ける事無く、取得することができます。

1973年9月までは、居住用不動産の所有についても外国人(外国企業を含む、シンガポール以外の国籍を持つ者)対象の規制はありませんでした。

1970年代に入り、海外からの投資により、火に油を注ぐように国内の土地投機が燃え広がり、シンガポール人、特に中産階級に不満が噴出しました。と申しますのは、これら中産階級の人たちは、収入が一定基準を超えているため、政府供給住宅に入る資格がなく、さりとて、民間のアパートを購入する程の余裕もなかったのです。そこで、1973年9月11日から、法務省は、外国人による住宅用土地の取得に規制を設けました。

現在、外国人の買い入れを政府が認可する住宅は、次の通りです。

(1)政府が建築した住宅(HDB住宅)でなく、6階以上階数があるフラット。

(2)「コンドミニアム」という名称の付いた認可済み住宅建設計画書に表示されたフラット。

しかし、外国人が買い入れを認可された住宅であっても、ひとつの建物の中の全ての戸数を買い占めることは認められていません。理屈の上では、一軒だけがシンガポール人の所有であれば、残りのフラットを買い占めることは可能ですが、政府の規制が厳格なため、そのようなリスクを取らないのが賢明です。

法規制が施行される以前に住居を取得した外国人は、現在でも、その所有を引き続き認可されています。但し、Residential Property Act(住宅用不動産法)には、企業が1973年9月の時点で、住宅用不動産の所有者であった場合、政府が同法で許可を与えていない限り、当該不動産は処分しなければならないとしています。

しかし、この認可は、かなりの数に上って与えられており、大手企業の中には今日でも、シンガポールで風光明媚といわれる住宅地の所有者になっています。

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