2002年 5月22日(水)

身近なシンガポール法務第34回[社会]


インボイス(請求書)

岡田ビジネスコンサルタンシー

岡田昌光

今回は、「インボイス」つまり「請求書」にかかわる注意事項を申し上げます。

インボイスは、発注書と共にほとんどの業種において必要な書類です。特に、商品、サービスの流れにおいて必ず発行されなければなりません。仮に口頭で発注がされていても、請求書は書面で発行するべきです。請求書が会計上、必要な書類であることは勿論のことです。

インボイスに記載が必要な項目はは、連続番号、発行日、請求金額、支払人、支払先、支払方法等です。また、GSTの登録をしている企業は、GST番号も明記しなければなりませんし、GST金額と請求金額の総額の記載も必要です。インボイスの表面に請求明細を表示するのは当然のことですが、支払条件を明示しておく事も重要です。支払方法、支払期日の他に、支払いが一定期日に行われなければ、ペナルティが付く事も忘れずに表記しておくべきです。その明記があれば、支払が滞った時に、ペナルティを請求する事ができます。売買契約書等で、支払条件が取り決められた書面が存在しない場合等は、インボイス上に記載することが特に重要です。

該当する商品、サービスの内容によって、どのような文言で支払条件を明示しておくのが良いかは、弁護士と相談することです。不良債権になっても、債権の取立てがし易いように表記しておくのが良いでしょう。

また、支払条件を決める際は、特に海外との取り引きの場合、相手国の法的条件等も充分研究して、支払が確保されるよう注意しておく事です。相手側が商品を受領してからや、貿易上では所有権が移転してから、又、サービスの提供が完了してから対価の取立ては困難を伴う場合が多く見受けられます。たとえば、L/C決済を利用する場合、特にカントリーリスクの高い国の相手先との取り引きでは「ConfirmedL/C」を開設するなどの対策が必要です。かかる「ConfirmedL/C」の発行銀行も指定する――例えば、世界的に信用度の高い銀行――ことが必要な場合もあります。

L/Cで決済する場合はL/Cで指定された内容がインボイスに表記されていないと、決済がなされませんので注意が必要です。

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