2002年 3月27日(水)

身近なシンガポール法務第29回[社会]


シンガポールの独占禁止法(Competition Law)(3)

岡田ビジネスコンサルタンシー

岡田昌光

最終回の今回は、欧州及び英国での企業競争に係る法制について簡単にみてみましょう。

欧州の独占禁止法の基本法は1957年3月25日に制定されたローマ協定の第81条と第82条です。一方、英国は、1998年のCompetition Act及び1973年のFair Trading Actがそれです。

ローマ協定第81条は、以下の事項を禁止しています。

非競争契約/単一市場での競争を阻害する行為等です。具体的に価格固定/生産、市場、技術開発、投資等の制限もしくは統制/市場の共有、資材調達の共有/差別的取り引き/不利な附属義務を伴った本契約締結等になります。

第82条 支配的立場の乱用/不公平な購買もしくは不当な販売価格/商行為に於ける不公平な条件の設定等です。この条項には例外をもうけてはおりません。

では、英国のCompetition Act 1998をみてみます。

第1条で“競争原理に反する契約を締結し、英国に於ける競争原理を阻害することを禁止する”と規定しています。

この条項は、ローマ協定第81条と基本的には同じ趣旨となっています。

第2条では、支配的立場の乱用を禁止じていますが、これもローマ協定第82条と基本は同じものです。

シンガポール政府は、競争原理を市場に導入し、支配的立場にある企業が、その立場の乱用を防ぐ事を考慮し始めているとみてよいと思います。

Mr. Tharman Shanmugaratnam (Senior Minister of State for Trade and Industry & Education)は、今年(2002年)1月18日、次のように述べております。

“新経済体制に於ける優先事項は、カルテルを禁止する法案の策定に入り、自由且つ公正な競争原理が行われるようにすることだ。”

シンガポールにCompetition Lawsが導入される場合、その基本概念は、欧州と英国のものと思われます。

従って、今、この時点から欧州と英国のCompetition Lawを研究しておくのが賢明と言えます。

罰則規定は、違反内容の契約書は無効とされ、売上げ額の10%が罰金として課せられます。この法律を知らなかったという口実は絶対に受け入れられません。

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