2002年 3月27日(水)

身近なシンガポール法務第28回[社会]


シンガポールの独占禁止法(Competition Law)(2)

岡田ビジネスコンサルタンシー

岡田昌光

今回はシンガポールの独占禁止法(Competition Law)が存在していない理由、そして、将来制定されるかもしれないという背景について説明します。

シンガポール政府は、数年前に開かれた‘Asia Pacific Economic Cooperation Forum Competition Policy & Law’の中で、「シンガポールには現在、‘独占禁止法’と言われる法律は存在していません。

しかし、市場を自由に開放することにより、国内経済の中に競争原理を確立していこうと考えています。

シンガポール政府がこれまで独占的に所有してきた、いくつかの業務について、市場の競争原理に則して、民営化、株式会社化していく計画を実行に移し始めたところです」と述べております。

しかし政府は、当時はまだ‘独占禁止法’の必要性は認めていなかったようです。

つまり、政府が関与している企業の商業活動を通じて、市場の直接管理ができていたからでしょう。

ところが、この数年間に、政府の直接管理能力は、多くの異なった商業分野に於いて、減退してきたのです。

例えば、放送事業、通信事業、電力、ガス事業、港湾事業等々に於いて、顕著に見られるのです。

政府は、今や、大きく‘かじ’を転換せざるを得ないのです。

香港紙“South China Morning Post(2001年8月3日付)は、“シンガポール政府は、経済界の主要部分で、依然として、重要な経済活動を行っていこうとしているが、その影響力は弱まりつつある。

経済の自由化が次第に進むにつれて、政府は‘独占禁止法’の思想に近づきつつあり、明らかに、新政府は、公共の利益を最大にしなければならないと確信していくものと思われる”と論評しております。

次回は欧州及び英国での企業競争に係る法制についてご説明します。

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