2002年 3月27日(水)

身近なシンガポール法務第27回[社会]


シンガポールの独占禁止法(Competition Law)(1)

岡田ビジネスコンサルタンシー

岡田昌光

現在、シンガポールには、いわゆる“独占禁止法”は存在していません。

しかし、近い将来、市場競争原理をさまたげる企業間活動は、法に従って、規制する動きが出てきております。今回から3回に分けて、この独占禁止法“Competition Law”についてご説明します。

第1回目は‘独占禁止法’とはどのような‘法’なのか、‘独占禁止法’は必要な‘法’なのかという点についてお話しします。

競争原理の働く市場には、企業が有する資源を最大限有効に利用し、企業活動の無駄を省かせ、運営の選択範囲を拡大させていく可能性があります。従って、このような市場機能がうまく働いていると、好実績を生み出そうとする強い誘因が発生してきます。

生産性を高め、価格を下げ、そして、新商品が出てくるように、企業は、自らを方向づけしていくのです。

そして、その結果、消費者にとっては、低価格で良質なそして多品種の商品を手に入れることができるのです。

国際市場に於ける企業間同士で、もしくは国内と海外企業間で競争原理が効率的に働いていくと、それが国際市場に於ける競争原理へと結びついていくのです。

以上が“法”の内容です。

次に“法の必要性”について申し上げます。競争が阻害されると、今述べましたような、利益を享受することができなくなります。そこで、競争阻害防止法、つまり、独占禁止法が必要となって参ります。

市場独占力を乱用すれば、新商品の開発は進まなくなり、高価格となり、低品質の商品が市場を独占することになります。

競争原理を守るべきであるというのが‘法’の大前提で、競争を企業間で公正に行うことにより、経済の幅広い恩典が行きわたっていくのです。

次回はシンガポールで‘独占禁止法’が存在していない理由、そして、将来制定されるかもしれないという背景についてご説明します。

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