2002年 2月 6日(水)

身近なシンガポール法務第21回[社会]


個人破産

岡田ビジネスコンサルタンシー

岡田昌光

NNA1月9日付【シンガポール_経済】欄に“・・・・・・昨年1~11月に破産した人の数が2,904人となり・・・・・・1999年の2,874人を上回った・・・・・・破産の理由は31%が事業の失敗によるもの。26%が失業や低収入・・・・・・”と記載されていました。

一方、日経新聞の最近の記事は、“00年の個人の自己破産申立件数は10年前の12倍を越える急増ぶりで、借金をした理由の第1位は「生活費」で39%、失業による借金は、第5位で11%”と報じておりました。

今回は、シンガポールで個人が破産者となる場合について述べてみます。破産者になるには、次の2通りの方法があります。

(1)破産宣告を自ら裁判所で受ける方法

(2)債権者が債務者を裁判所に訴え、裁判所が破産命令を出す方法

個人が自ら裁判所に破産申請をする利点は

(1)自らの資産を自制を失った債権者から守れる

(2)一旦、破産申請が裁判所に提出されると、裁判命令で、債務者に対する一切の法的手続きが停止させられる

(3)Official Assignee〈破産管財人〉が介入し、公正な判断で資産処分が進められる

等です。

外国人も、個人破産者になれます。シンガポールに少なくとも1年間居住し、業務を営み、資産を有する人であれば、シンガポール法が適用され、個人破産を行うことができます。しかし、離星して、債務を回避することはできません。

個人破産者は、常にOfficial Assigneeに所在地を連絡しなければなりません。破産管財人の許可なしに、シンガポールを離れたり、居住地を他国に移すことはできません。

破産管財人は、パスポートを押収する権限があります。破産者は、自己の傷害にかかわる訴訟以外の訴訟を、破産管財人の承認なしにはできません。

個人破産については、弁護士事務所に相談されるのが重要な第一歩だと思います。

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