2002年 1月30日(水)

身近なシンガポール法務第20回[社会]


PL(Products Liability-製造物責任法(3)

岡田ビジネスコンサルタンシー

岡田昌光

今回は、シンガポールで製造された製品をアメリカを含む海外に輸出している企業のPL訴訟対策について述べてみます。

シンガポールで製造した製品が、輸出先のアメリカでPL訴訟に持ち込まれることはあります。特にアメリカでは、PL訴訟の件数・金額ともに増加傾向にあります。

従って、常にPL訴訟を念頭においた対策は不可欠です。

アメリカでは、1970年代頃よりPL訴訟が本格化しました。当時は、本当に製品が欠陥品だったかどうか等、その製品の善し悪しを調べると言う、いわば、“まじめ”な時代であったといえるでしょう。ところが、80年代になりますと、提出された開発関係書類の中から、製品の欠陥探しをするという傾向になり、更に、90年代に入りますと、書類と証人をどれだけ出したかでPL訴訟の勝ち負けが決まるというふうになっていったのです。

アメリカでは、PLビジネスと呼ばれるものが存在するのです。原告側は全米を網羅する情報網を持ち、また原告側弁護士同士で緊密な連絡を取り合っているのです。

企業側は、PLの専門家を雇い、通常の業務において、原告側弁護士の手管を研究するなどして、原告側に対応することを考えなければなりません。

原告側は、ATLA(Association of Trial Lawyers of America)を通じて、製品のPL情報、discovery回答、discoveryによって集められた資料、会社側witnessの証言録等を交換し、これにより同種製品をめぐる他の訴訟との回答の不整合、矛盾点を追及するという戦法を取っているのです。

従って、迎え撃つ企業側は並々ならない対策を立てなければならないのです。重要なのは、優秀なPL専門弁護士に依頼することです。

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