2002年 1月23日(水)
身近なシンガポール法務第19回[社会]
PL(Products Liability-製造物責任法(2)
岡田ビジネスコンサルタンシー
岡田昌光
前回でも申し上げましたように、シンガポールには、PL法は、法として存在していません。
しかし、消費者が、購入した商品による“被害”を受けた場合、消費者は、シンガポール消費者組合(“CASE”と呼ばれています)に“被害”についての不満を訴えることができます。
シンガポール人の場合は、会費等の費用を“CASE”に支払う必要があります。
しかし、在星外国人や観光客の場合は、このような費用負担の必要はなく、持ち込んだ不満について、調査してもらうことが出来ます。
また、観光客の場合、訴えた不満に対する結果が分かるまでシンガポールに滞在する必要はありません。
“CASE”が、代わって決着をつけてくれます。
別の方法として、Small Claims Tribunal
(S$5,000以下《商品不良を訴える場合、その商品の額》の訴訟を取り扱う裁判所)に持ち込む手段もあります。
手続きは極めて簡単で、弁護士に頼らずとも対応できます。
購入した商品により損害を被った場合、その損害の度合いによりますが、補償額が決まります。
訴える人は、自らが、被った損害を正当に証明しなければなりません。弁護士が法定で争う場合、原告が主張する補償額は正当なものであることを証明しなければならないのです。
問題商品がシンガポール以外の国で製造されていた場合、手っ取り早い方法として、シンガポールの販売業者を訴えるのです。
しかし、損害補償額が大きくなると、当該商品が製造された国で、その商品を製造した企業に対して損害補償を請求するのが適当かもしれません。
特に、習慣的に、懲罰的損害賠償額で決着をつける裁判で訴訟を行うのがよいかもしれません。
とにかく、今回述べましたような商品による損害が発生しましたら、弁護士事務所を訪ねることをおすすめいたします。