2002年 1月16 日(水)

身近なシンガポール法務第18回[社会]


PL(Products Liability-製造物責任)法

岡田ビジネスコンサルタンシー

岡田昌光

シンガポールでは、PL法は制度化されていません。しかし、消費者が、購入した商品でけがをした場合、商品販売法(sale of goods Act)に基づいて、当該商品を販売した当人を、訴える事ができます。

この場合、けがをした当人が、当該商品の買い主であり、当該商品の売り主が確定している証拠が必要です。

商品販売法では、販売者が売った商品に欠陥があったために何らかの損害が生じた場合、販売者が購入者に、その損害を補償するように規定しています。

かかる損害が、人体に影響を及ぼすものでなければ、購入者は欠陥商品を販売者に返品し、返金してもらう権利があるとしています。

また、消費者が一旦買い入れた商品が、使用目的にそぐわないことが判明した場合、購入してから2~3日以内であれば、買い求めた商店等へ領収書を持参し提示すれば、当該商品の返品に応じるのが普通です。

商品販売法は、販売適格品質であることを規定しています。従って、商品は、売り手の商品説明どおりの使用目的に適合していなくてはならないのです。

販売者は、返品を全て受け入れなければならないとは限りません。

購入者が注意をして商品を調べれば欠陥がわかったであろう場合や、見ただけで欠陥がわかりやすい場合には、欠陥を承知で購入したとみなされ、販売者はかかる商品の返品を受け付ける義務はありません。

これは、悪質な消費者から販売者を守る規定です。商品を購入する場合はくれぐれも充分確認してから購入すべきだ、と言うことです。

次回では、消費者が、購入商品の欠陥等で被害にあった場合、どのような対応をすべきなのかについて申し上げましょう。

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