2001年12月26日(水)

身近なシンガポール法務第16回[社会]


離婚(続)

岡田ビジネスコンサルタンシー

岡田昌光

離婚後の配偶者の財産権について述べてみましょう。

妻が夫からの生活費援助を必要とする立場であれば、扶養手当を得られる場合もあります。その額は、夫の得る収入、妻と子供が必要とする額によります。

ただし、女性に姦通があった場合は、「手当てを出す必要がない」旨の命令が夫に対して下される事もあります。

財産権を行使するにあたって、住居などの資産を分与するように裁判所命令が出ることもあります。特に、結婚中に妻の協力もあって取得した資産については分与命令が出ます。

分与の額の規定はなく、裁判所の判断に任されます。

また、内助の功も資産形成に寄与したとみなされます。妻が高額の収入を得ているが、家計にその収入を入れていない場合でも、家庭を守り子供の養育に貢献すれば、立派な資産形成寄与とみなされます。

離婚をしたい場合、まず弁護士を訪ねることです。弁護士は、必要な書類を作成し、裁判所での聴聞会までの手続きを指示、説明をしてくれます。

妻であった女性は、元の夫から自分自身と子供の扶養手当の要求を裁判所に申し立てることができます。法廷では、子供と生活を共にし、養育したい旨を主張することです。

裁判所は、離婚を認める前にあらゆる角度から、例えば、夫妻の身の振り方、子供への影響なども十分検討します。裁判所が、離婚の法的取り扱いが充分であると認めると、離婚が成立します。

なお、離婚成立3カ月後から再婚ができます。

離婚にかかわる弁護士費用の一覧はありません。簡単な離婚訴訟であれば、約2,000Sドルです。複雑な訴訟(子供の養育権、扶養料、資産分与など)になりますと、1万Sドルを超えることもあります。訴訟内容と、要した時間を基に、弁護士は費用を正しく算出します。

相手側に(夫側または妻側)、離婚訴訟に要した弁護士費用を請求できます。自分の分は自分で支払うという同意書を作成しておくのが良いでしょう。事前によく弁護士に相談して、詳細を尋ねることをお薦めします。

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