2001年12月19日(水)
身近なシンガポール法務第15回[社会]
離婚
岡田ビジネスコンサルタンシー
岡田昌光
【The Daily NNAシンガポール版】(1652号)は、昨年は離婚する人数が減ったと報じています。それでも、5,160組の離婚があったそうです。
シンガポールで離婚の申し立てをするには、シンガポールに居住していなければなりません。
例えば、日本人で、シンガポール人と結婚していて離婚する場合、裁判所に離婚申し立てをする時点で、この日本人は3年間継続的に在住していることが必要です。
Employment Pass取得者の場合は、この3年間、業務に就いていなければなりません。
そして、少なくとも3年間は結婚生活を営んでいたことが条件となります。
もっとも、耐えられない苦痛で虐げられている場合は、3年未満であっても、裁判所が認めることもあるそうです。
離婚が認められる例を列挙しますと、
1)姦通(但し、離婚訴訟の申し立て人が、その配偶者の姦通の事実が判明した後、6カ月以上同居しておれば、離婚の根拠にはなりません)
2)被控訴人の行為が、控訴人にとって、適切に共同生活を営めるものでない場合
3) 正当な理由無く被控訴人が控訴人から継続的に2年間離別した時
4)夫婦が少なくとも3年間引き続き別居し、かつ、被控訴人が離婚に同意した時
5) 夫婦が少なくとも4年間引き続き別居した時
などがあります。
離婚後の、子供の国籍には法的影響はありません。子供がシンガポール国籍をすでに有しておれば、両親のどちらかがシンガポール国籍でなくとも、子供はシンガポール国籍のままでいられます。
シンガポール国籍でなかった日本人が、結婚によって国籍または永住権を取得している場合、この日本人は離婚後も国籍もしくは永住権を確保できます。
離婚に際しては、様々なケースがありますので、弁護士に相談されることが、無駄な時間を省く最良の方法と思います。