2001年12月 5日(水)

身近なシンガポール法務第13回[社会]


会社役員(1)

岡田ビジネスコンサルタンシー

岡田昌光

会社法(Companies Act)-Chapter50-)第145(1)に“Every company shall have at least two directors one of whom shall be ordinarily resident in Singapore”と規定しています。

つまり、シンガポールの会社は少なくとも2名の役員を選任し、その1名はシンガポールに在住していなければならない、ということです。ここで言う1名とは、シンガポール国籍である必要はなく、外国人であってもemployment pass(就労ビザ)を所持しておれば、この1名に該当します。

最低2名の役員数で法的に定数を満たしていても、合弁会社の場合、2名の役員(2社の合弁で、各社から1名ずつ役員を出す場合)では、案件決議で両社の意見が対立した場合、該当案件は成立しません。従って、合弁会社での役員数は、奇数員数にすることが望ましいと言えます。もっとも、どちら側からの役員数を他の一方より1名差をつけておくかは問題となります。

このような場合、事前に、弁護士の意見を充分聞く事をおすすめ致します。

役員の法的責任範囲については、会社法第157条1項で、“役員は常にその責任遂行に当たって、誠実且つ正当な注意義務を課さなければならない”としてます。同条項で役員責任について全て述べていませんから、その責任については判例法に基づく規定が適用されます。役員の法的責任は、3つに大別されます。

1. 受託者責任

2. 能力、監督及び注意義務責任

3. 遵法責任

次回でこの3点について更に説明申し上げます。

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