2001年11月 7日(水)

身近なシンガポール法務第10回[社会]


セクハラ

岡田ビジネスコンサルタンシー

岡田昌光

セクハラは“Sexual Harassment(性的悩みが直訳です)”から出来た日本語で、“性的嫌がらせ”と一般的に理解されています。

我が国では1999年4月改正男女雇用均等法で、セクハラの防止が企業の配慮義務となりました。

シンガポールでセクハラが軽犯罪に問われますと、最高2年間の留置となります。

シンガポールの雇用法では、安全な職場環境の確保を義務付けています。従業員が“性的嫌がらせ”を受けて退職せざるを得ない事態に立ち至った場合、企業は違法性が問われるかもしれません。

公共の場、例えばMRT(地下・高架鉄道)車内、エレベーター内などで婦女に性的不道徳行為を行うと、刑法354条が適用されます。その行為の内容が悪質であれば、354条Aが適用されます。

354条は、2年間の懲役、もしくは罰金、もしくは鞭打ち、もしくはそのうちのどれか2つの刑となります。354条Aが適用されますと、10年間の懲役となり、いっそう厳しくなります。

企業経営においては、就業規則の中にセクハラ行為に関する規定を入れることが望まれます。女子従業員の品位を言葉で傷つけたり、女性としての人格を軽蔑したりしないように規定するのが良いでしょう。

単に、恋文を何回か女性に出したり、逢引(あいびき)の誘いをする程度であれば、犯罪を構成することにならないようですが、その内容いかんによっては、性的嫌がらせを行ったと充分見なされる場合もあります。例えば、上司の誘いを部下が断ったために、その部下の業務が不利にさせられてしまったことが明らかになった場合が当てはまるでしょう。

就業規則に、どのように盛り込めばよいのか、また、職場でセクハラ問題が発生したり、事前にその発生に気がついた時など、躊躇(ちゅうちょ)することなく、弁護士事務所を訪ねる事をお勧めします。

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