2001年10月31日(水)

身近なシンガポール法務第9回[社会]


解雇の手順

岡田ビジネスコンサルタンシー

岡田昌光

第7回で“解雇時の注意点”について述べました。今回は“手順”について簡単に申し上げます。

労働組合に属さない一般社員の解雇についてのみに限って申しますと、まず解雇したい社員の“Letter of Appointment”(雇用契約書)の内容を、注意深く読み直して下さい。解雇についての条項は、通例記載されているはずです。

その条項に、雇用者側の都合で解雇する場合(retrenchment)について規定してあれば、その規定に従って下さい。

被雇用者側の勤務態度などが、雇用者側にとって望ましくないという事であれば、まず“Warning Letter”(警告書)を、人事担当者名もしくは経営責任者名で出すことです。

この場合、かかるLetterが間違いなく本人の手に渡ったという確認を取る事が必要です。そのために本人の住所宛て、Register(書留郵便)で発送するか、直接本人に会社内で手渡し、その写しのLetterに、受領した旨のサインを取ることです。

仮に、本人がそのサインを拒否した場合、雇用者側の責任者が立会い、Letterが本人に手渡されたかどうかを、第三者の立場で記録し、保管しておくことです。

書留郵便の場合、本人が受け取らない場合は返送されますから、注意が必要です。この“警告書”を2ないし3回出しても何らの改善が(例えば、遅刻の回数が減るとか)見られない場合は、解雇通知書を本人に手渡すことです。

この通知書には、解雇の理由を記述しないことです。第7回の『解雇時の注意点』では、「通知書にその理由を明記するなど」と記載され、誤解を招く表現になりましたが、実際は、先に述べましたように、解雇通知書には解雇の理由は記載しません。

但し、解雇の理由とそれを裏付ける書類は、(念のため記録として)キチンとまとめておくことが必要です。

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