2001年10月24日(水)

身近なシンガポール法務第8回[社会]


自動車事故

岡田ビジネスコンサルタンシー

岡田昌光

日本で自動車事故にあっても、その事後処理は簡単ではありません。ましてや国外での対応には充分注意する必要があります。

シンガポールで自動車事故を起こした場合、道路交通法(Road Traffic Act)が適用されます。

事故を起こした当事者は当事者同士の氏名、身分証明書番号、連絡先、保険証番号などを知らせ合わなければなりません。相手が教えてくれない場合、車番号をメモし、可能な限り当人の容貌を記憶し、警察に届けることです。

事故発生後24時間以内に本人、もしくは事故車に同乗していた人が、最寄の警察に事故報告書(Police Report)を提出します。

事故現場をカメラで撮ることができれば、お互いに現場の状況について意見に食い違いが生じた場合の役に立ちます。常に簡易カメラ(使い捨てカメラ)を運転席の小物入れに用意しておくのが良いでしょう。

事故報告書を提出しておかないと、自動車保険の求償に差し障りが出ます。また、報告業務を怠ると最高1,000Sドルの罰金、もしくは6カ月の拘置となります。

事故により、重傷者が出たり、死亡者が出たりした場合は、事故現場をそのままにして直ちに警察(もちろん、救急車も)を呼ばなければなりません。

仮にあなた自身に非があると思っても、絶対に一方的に非を認めてはいけません。判断はあくまで、警察当局と保険会社に一任することです。

「事故報告書を出さないでほしい」と相手側から依頼されても、断ることが肝要です。

事故現場で当事者間で金銭の授受を行い解決する場合、双方の保険会社にお互いが補償を請求できないよう、“補償は完了済みである”との書類を整えて置くことを怠ってはなりません。

事故報告書にも、相手側の満足する補償は完了している旨を記載しておくべきです。

事故処理がこじれそうになったり、こじれなくても法に則して解決したい場合は弁護士に相談するのが一番です。

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