2001年10月17日(水)

身近なシンガポール法務第7回[社会]


解雇時の注意点

岡田ビジネスコンサルタンシー

岡田昌光

『The Daily NNA』にも、連日のように解雇に関する記事が目に付きます。

日本のような失業保険の無いシンガポールで失業しますと、その日から全く収入が無くなります。それだけに被雇用者側にとって、解雇されることは深刻です。問題がこじれる心配も出てきます。

しかし雇用契約の中で、解雇時の条件について合意をしておけば、問題を避けることが出来ます。

雇用者側の都合(例:業績悪化等)で解雇する場合は『retrenchment』と言い(『redundancy』と同じ)、被雇用者の勤務態度などが、雇用者の期待するレベルに合っていないなどの理由で解雇する場合は『termination』と言います。

いずれの場合も、1カ月前(雇用契約書によっては3カ月前など)の一方的通告、もしくは即日解雇通知を渡し、1カ月分(3カ月分)の給与を支給すれば法的には問題はないとされています。

後者の解雇の場合、M.O.M (Ministry of Manpower-労働省)から問い合わせがある場合に備えて、通知書にその理由を明記するなど、書類で説明がつくようにしておく事が必要です。“不当解雇”ではないかと調査が入っても充分対応できるように、証拠を文書で揃えておくことを忘れてはなりません。

一人もしくは少人数の解雇と、大量解雇の場合とでは、当然対応は異なります。いずれの場合でも、法に則った対応をすることです。

前回も申し上げましたように、解雇手当は法的に不要です。但し、雇用契約に記載のある場合は別です。

問題が出てこじれても、いたずらに「金」で安易に解決をしないことです。信頼のおける弁護士事務所に相談することにより、双方にとって最も望ましい解決法が見出せると思います。

NNAからのご案内

出版物

SNSアカウント

各種ログイン