2001年 9月26日(水)
身近なシンガポール法務第4回[社会]
契約社会
岡田ビジネスコンサルタンシー
岡田昌光
シンガポールは“契約社会”です。企業のみならず、日常生活の中でも“契約”が至る所に張り巡らされています。
日本では、契約は「水臭い」とか、「“あ・うん”の呼吸」の腹芸で取り決める傾向がありますが、英国植民地だったこともあるシンガポールでは、契約が重要視されます。
私たちの身の回りで重要な契約は、アパートの賃貸契約です。このことは、前回取り上げました。
その他、車をリースで利用されている方は、リース契約を充分吟味しておくことが必要です。メイドを雇用する場合はエージェントとの契約内容に注意しておくことです。理解できない事項があれば、弁護士など法の専門家の説明を求めることです。
企業はさらに“契約”で縛られています。事務所などを借りている場合、その家主との賃貸契約、又、JTC(ジュロン・タウン・コーポレーション)との間で土地・家屋(工場)賃貸契約を結んでいる場合など、日本人責任者がその契約内容を充分理解しておく必要があります。
又貸し(サブ・レット)は、JTCとの間の基本契約書に『サブ・レットができる』と明記していない限りできません。うっかり気軽に又貸ししますと、罰則が待ち構えていることをお忘れなく。
人を雇う時、雇用契約書を取り交わさなければなりません。賃貸事務所で日本人一人、ローカル一人であってももちろん、雇用契約書は必要です。
ローカルではなく、日本人を雇用する場合でも、この契約書は必要です。労働組合のあるところは、労働契約書(コレクティブ・アグリーメント)が必要になります。
また、企業ごとに就業規則を作成しておくことをお勧めします。このような規則・契約は、できれば一年ごとに内容を点検し、関連法規に照らして、変更する必要がないかどうか見届けておくことです。このような時、弁護士に相談することが“転ばぬ先の杖”となります。