2001年 9月19日(水)

身近なシンガポール法務第3回[社会]


コンドミニアムの入居と退去

岡田ビジネスコンサルタンシー

岡田昌光

シンガポールに駐在される方々にとって、一つの楽しみは、広いスペースのアパートに住める機会があることかもしれません。しかしこの楽しみも、入居時に取り交わす『賃貸契約書』の内容を充分検討しないで署名しますと、苦しみに変わることもあります。

今回は、この入居そして退去する時の問題点、注意点についてまとめました。

賃貸契約書は当然のことですが、貸す側に有利に(つまり借りる側に不利に)書かれております。従って、注意深く内容を検討し、不利と思われる点については、貸す側(家主)と打ち合わせを行い納得の上、署名する事です。

いったん署名をしますと、署名をした書類内容の変更は極めて困難です。シンガポールの賃貸に関わる法規などについて、私たち外国人は知識が不足しております。署名をする前に弁護士に見てもらうことをお勧めします。

駐在員の方々は、本社からの指示により、急な帰国もしくは他国への転勤があります。契約期間終了以前の「やむを得ぬ」契約解除には、ペナルティ無しとするか、小額で済ませられるように、契約条項に入れておくことが必要です。このような条項が無ければ、中途契約解除の場合、残存月額分の支払いなどが発生します。

入居時に、水道の出具合、電気配線などこまごまと正常かどうか調べ、またカーペットや壁などの汚れや、家具の傷みなど、気がついたら証拠写真(年月日入り)を撮ることです。さもなければ、退去時に家主からこれらの損傷全てについて請求される心配があります。例えば、入居中に上階からの水漏れが発生した場合、証拠写真を撮ると同時に、直ちに家主に連絡する事が必要です。放置しておくと法的にも損害を請求出来なくなります。

退去時にはdepositの返還を要求することです。Depositは入居中に損傷した補償に充当されるものと思い、全く放棄される方もいらっしゃるようですが、損傷などが無ければ当然全額返還されるものです。

家主によっては、不当な損傷補償を要求し、返還を拒む場合もあるようです。このような場合、断固として返還を要求すべきです。

返還を拒否された場合は、弁護士に相談すれば対処してくれます。返還金の10分の1程度の弁護士費用で済むのが一般的だと思います。アパートの入居時、入居中、退去時など、常に何かあったら弁護士に相談しようと思う心がけが、シンガポールでの住み心地を一層快適なものにすることでしょう。

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