2004年12月22日
従業員に責任感を持たせるには(後編)
従業員全員に責任感を持たせたいのですが、どうしたらいいでしょうか。
前回紹介した事例を見てみると、ザイナル製造課長は、生産の遅れに対して何も考えていないようである。つまり自分の仕事とは考えていないようにみえる。
おそらく、自分は一生懸命がんばった。休みが多く、しかも品質の問題まで起きていながら、よくやったと思っているのであろう。また、生産が遅れても、それは最初から無理な計画だったのだから、仕方がないと考えているようである。
ザイナル製造課長は、自分の責任というものをハッキリと知っていない。製造課長の責任としては、どのような事が起きても、生産を達成する責任があり、そのために努力をしなければならないということを理解していないようだ。
確かに、本人の問題もあるが、マレーシアにおいては、どこまでが責任の範囲かを明確にしておく必要がある。日本においては、常識で片付けられてしまう問題が、海外では常識ではない。ここが海外での仕事の難しさである。
海外では、責任という言葉の重みが日本以上にあるようである。また、自分の責任と理解したところで、それでは何をすればよいのですかということになってしまう。従って、責任を追及するよりも、何をしなければならないかということを指導した方が効果的である。
全く責任感がないとは思わないが、日本人と比べると次の違いがあるのではないだろうか。
(1)重要性の理解がされていない
それほど重要とは思わないから、そのままになってしまう。
(2)考えない
問題などが起きたときに、どうしようと対策を考えることが少ないように感じる。むしろ、この問題は自分の責任かどうかの方が重要で、自分が責任を問われない理由が見つかれば、後はどうでもよくなるのかもしれない。
(3)報告が不足している
重要度の理解と関連しているが、問題が起きた時に報告がない。これは、どのような時に誰に報告するのかといった取り決めがされていないので、そのままになっているようである。
この対策としては
(1)重要な事項に関して、全従業員に理解させる
(2)報告を習慣付け、日頃から訓練をする
以上のことは、日本ではなにげなく実行されていたり、本当は一生懸命に関連部署が啓蒙活動を行なっていながら、我々は気がつかない事なのかもしれない。
つまり、海外ではこれを意識して実行しなければならないということである。
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