2005/09/28

「自ら発想、自ら実践」の実現のためには


自ら発想、自ら実践という意識を根付かせるためにはどうしたら良いのでしょうか?

非常に高度なご質問です。
究極の目標であり、これが完了すれば、日本人は現地に駐在しなくてもすむようになります。今までの海外への技術移転を考えてみると、次のようなステップを踏んだのではないでしょうか。

1.工場立ち上げおよび生産開始の段階

作業者の教育として、スーパーバイザーなどの現場リーダーを日本で、実作業を通じて実務教育を行った。
>>この段階では、作業を見よう見まねで学ぶというものが多く、言葉や高度の知識は要求されませんでした。

2.管理の充実

海外の工場が立ち上がり、軌道にのるようになると、品質、コスト、納期といった工場管理に必要な要素を管理するようになります。
>>この段階では、対象はマネジャー・クラスとなり、日本からスタッフが指導に来るようになります。教えるほうも系統的、組織立った説明が得意ではなく、加えて英語で説明をするために、意思が上手く通じず苦労をします。現在のマレーシアに進出している日系企業の多くは、この段階にあると思われます。

3.新たな戦略

管理が充実するころになると、ビジネスを取り巻く環境にも変化が見られ、進出当時とは様変わりをしているものです。多くの会社では、海外で生産する製品群の幅を広げたり、設計部門などの垂直方向で組織を拡大したりします。
>>この段階で、海外生産の現地化が検討されるケースが多いようです。正確に言うと現地人化ということかも知れません。

<マレーシアの現状>

一方で、東南アジア全般なのかもしれませんが、マレーシア人の発想はトップ・ダウンです。上司に意見を言うなど、基本的には許されないという土壌があるように見えます。現場の作業を見ても、やりにくい作業を黙々と行っています。上司が、指示をしないからというのが理由です。

また、日本とマレーシアとではレベルの差が大きくて、質問の余地がなく、真似をするのが先決であったということも言えます。日本人の態度としても、言葉でお互いに説明をするのが苦手なので、言われた通りにしろという姿勢があったかもしれません。

「物事を考えない習慣がついている」「全て上司に決めてもらったほうが、責任が無くて楽だ」ということがあるようです。

また、植民地として統治された影響でしょうか。Responsibility(責任)と言ったとたんに緊張するように感じます。一生懸命に責任回避の説明を始めます。何をしなければならないかを分かっていても、上司が指示を出さないと実行しません。責任と権限の意識が強く、余計な事はしない、責任は取りたくないという意識であると思います。

このような状況で「自ら発想」「自ら実践」という意識を根付かせるためには、訓練しかありません。いわゆる5W(「なぜ」「なぜ」を5回繰り返す)で考えさせることが大切です。根気良くOJT(On the Job Training)で指導をして、自分たちで実行したら、ほめて自信をつけさせる。こういった訓練を、根気良く3年、4年と続けることだと思います。

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