2004年 2月 18日(水)

違法ストライキの対処と二者協力機関の活用[労働]


昨年12月に、新労働法に関係する14の労働移住大臣決定書が公布・施行され、また「産業紛争解決法」が、この1月に公布されております。(施行は1年後です)今週からの2回は、この新しい法令のポイントを整理してみます。

1. 大臣決定書

昨年12月に公布・施行された大臣決定書(2003年第223号~235号及び第255号)のテーマは下記の通りで、( )内は、関連する新労働法の条文番号です。

1)補償金支払い義務の適用外となる教育機関の役職(第47号)

2)23時から7時までの時間帯に女性労働者を就 労させる経営者の義務(第76条)

3)労働訓練機関認定機関の組織構成及び業務手順(第16条)

4)インドネシア国外での実習プログラム運営許可の付与手順(第25条)

5)インドネシア国家労働能力基準の決定手順(第10条)

6)外国人労働者雇用計画の承認手順(第43条)

7)職業訓練機関の許可取得及び登録手順(第14条、第17条)

8)労働者派遣費用の徴収が可能である特定の職位及び役職(第38条)

9)最低賃金実施の延期手順(第90条)

10)違法ストライキの法的結果(第142条)

11)継続的に実施される業務の種類と性質(第85条)

12)特定地域におけるエネルギー及び鉱業分野の労働時間及び休憩時間(第77条、第78条)

13)子供の健康、安全、或いは道徳を脅かす職種(第74条)

14)二者協力機関設置手順と組織構成(第106条)

2. 違法ストライキについて

上記の中で特に重要だと思われるのが、「違法ストライキの法的結果に関する大臣決定書2003年第232号」ですが、そこには次のように書かれています。

第3条:下記の通りに実施された労働ストライキは違法なものとする。

a. 協議に失敗した結果によるものでない場合

b. 労働分野において責任を負う機関と経営者に通知せずに実施した場合

c. 労働ストライキ実施の7日前を切ってから通知した場合

d. 通知内容が労働に関する法律2003年第13号の第140条第2項a、b、cとdの規定に適合しない場合

第4条:上記第3条aに述べる協議の失敗とは、労働組合が経営者に対して14稼働日の猶予期間中に2回に亘り書面で協議を要請したが、経営者が協議を行う意思がないこと、或いは行った協議が行き詰まったことを、協議議事録において当事者双方が表明したことに起因して、産業関係紛争の解決合意に達することができない状態のことである。

第6条:

(1)上記第3条に述べる通りに違法に実施された労働ストライキに参加する労働者は、無断欠勤扱いとする。

(2)上記第1項に述べるストライキ実施者に対して、経営者は、業務復帰を呼掛けるものとするが、この呼掛けは連続して合計2回、7日間の猶予期間中に書面による適切な形態で行うものとする。

(3)上記第2項に述べる呼掛けに応じなかった労働者は、自主退職したものとみなす。

ここにおいて押さえておかなければいけないポイントは、下記の二つです。

(1)会社側が話し合いの姿勢を放棄しない限り、ストライキは打てないということ。

即ち、会社側が労働省の調停を入れてでも協議を続けようとしているときに、労働者側がストライキを打とうした場合、労働省からストップをかけてもらうことが出来ます。

(2)違法ストライキに突入された場合、給与支給の必要はありませんが、7日間は業務復帰を呼びかけ続けなければならず、解雇できないこと。

実際の対応としては、直ぐに労働省の担当官を呼び、違法ストライキが実行されていることを見てもらうことが必要です。そして、その指示を仰ぎながら労働者との交渉を進めてください。近隣の方たちやお客様、あるいは会社の設備などに直接的被害が出ている場合を除き、警察等を呼ぶ前に、まず労働省に連絡をしてください。

3. 二者協力機関について

この二者協力機関は、新労働法第106条において50名以上の従業員を雇用している会社の義務と定められましたが、是非有効活用なさるようお勧めしておきたいと思います。と申しますのも、労使関係を円滑に進めていらっしゃる企業では、必ずこのような協議会を定期的に持たれているからです。大臣決定書2003年第255号においては以下のように規定されています。

第2条:二者協力機関の役割は、下記の通りである。

a. 会社レベルにおいて、経営者と労働組合代表或いは労働者代表の間で意思疎通を図り、相談し、協議をする場として。

b. 平穏な労働環境を達成し、事業の存続を確保することで、労働生産性と労働者の福祉を向上させる為に社内の産業関係問題を検討する場として。

第3条:上記第2条に述べる役割を果たす為に、二者協力機関は下記に挙げる任務を負う。

a. 定期的に、及び/或いは必要であれば随時、会合を開く

b. 労働者の福祉と事業の存続に関する経営者の方針と労働者の希望について意思疎通を図る

c. 社内の産業関係問題を早期に発見し、検討する

d. 会社の方針決定において経営者に対して提案と見解を伝える

e. 労働者及び/労働組合に対して提案と見解を伝える

第8条:

(1)設置された二者協力機関は、設置から14稼働日以内に県/市の労働分野において責任を負う機関に登録しなければならない。

(2)上記第1項に述べる通りに登録するため、二者協力機関運営者は、設置について記載した協議録、運営構成、及び会社所在地を添付し、書面による通知書を直接或いは間接的に提出するものとする。

(3)労働分野において責任を負う機関は、通知書を受理してから7稼働日以内に、登録証明番号を付与するものとする。

第9条:二者協力機関の構成員は、経営側と労働者側の割合を1対1とし、その人数は6名以上20名以下とする規定に基づき、必要に応じて調整するものとする。

第13条:

(1)二者協力機関は、最低1カ月に1回、或いは必要があれば随時会合を開く。

(2)会合における検討事項は、経営者側、労働者側、或いは二者協力機関の運営者が提議することができる。

(3)二者協力機関は、必要に応じて会合議題を決定し検討する。

(4)二者協力機関と社内のその他機関との業務関係は、調整的、諮問的、伝達的な性質を持つものである。

第16条:二者協力機関はその活動について、6カ月に1回定期的に、県/市の労働分野において責任を負う機関に対して報告を行う。

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