2005年1月19日
第21回税務をめぐる問題~増値税を節約しよう(原井マジック)の巻~
増値税の概要と節税ポイント
お久しぶりですねえ。増値税の負担が重いんですって?それじゃあ、まず取引内容を分析してみましょうか。
貴社はこれまですべて間接輸出取引、去年から国内販売も開始されたと。なるほど、うまくいくと増値税負担を軽減できますよ。ご存知のとおり、増値税は日本の消費税みたいなもので、販売先から受け取る売上増値税から、仕入先に支払う仕入増値税を控除し、その差額を納税します。
注意すべき点は2つ。
1つは、仕入先から受け取る増値税専用発票に基づく仕入増値税だけが控除できるということ。仕入先から普通発票をもらっていませんか?一度、仕入先からもらっている発票をチェックして、普通発票をもらっているようでしたら、仕入先から増値税専用発票をもらうようにしてください。
もう1つは、控除できない仕入増値税額のマジックです。
控除できない仕入増値税額について
増値税専用発票だからといって安心できません。控除できない仕入増値税額、例えば免税売上に対応する仕入税額、があります。貴社は間接輸出をしていますので、これに対応する仕入税額は、売上税額から控除できません。
ここで仕入税額を免税売上に対応する部分と課税売上(国内販売分)に対応する部分とに個別に紐付けできない場合は、売上比で按分計算します。(※計算式) 例えば、国内販売が1,000で、間接輸出が1,000、売上税額が170で、仕入税額が100としましょう。
納税額は、売上税額-{仕入税額-(控除できない税額)}、なので下記のようになります。
170-{100-(100×1,000÷2,000)}=120
でも、控除できない仕入税額を按分で計算するのは、紐付けできない場合だけなんです。ここで仕入税額100のうち、明確に国内販売に対応する部分が40含まれていたとすると、その分は売上税額から直接控除できますので、納税額は下記のようになり、20節税できます。
170-40-{(100-40)-(100-40)×1,000÷2,000}=100
国内販売製品の製造のみに使用している原材料の仕入税額などありませんか?盲点ですので、ご確認を。すでに過年度分について過大申告をしていたら、是非ご相談くださいね。
※計算式:
※(本稿は著者個人の意見であり、所属する法人とは関係ありません)