2005年1月5日

第20回個人所得税の還付~中国で働く香港社員のために~


中国で納税した個人所得税の一部を香港で取り戻しませんか?

香港子会社に出向した日本人駐在員で、その勤務地が中国国内であることから、中国個人所得税を中国にて納税されている個人も数多くいます。特に、昨年発布された中国の個人所得税修正申告勧告の通達に基づいて税金の追加納付を行った個人も少なくないでしょう。もしあなたがそうなら、条件次第では納税額の一部を香港で取り戻すことができるかも。

どのような個人が一部取り戻せる可能性があるのか?

香港の給与所得税を申告納税している方は、中国で納税したことの証明資料とともに、修正申告書を香港税務当局に提出することで過年度納税額のうち、中国納税額と重複する部分の還付を受け、今年度についても、中国での納税対象となった所得額を香港の税務申告時に課税所得から控除することにより納税額を減額することが可能です。

中国国内で勤務している香港会社の従業員の場合;

香港子会社へ出向した従業員Aさんは年間183日を超えて中国国内で勤務している。給与は日本の親会社と香港子会社の双方から受け取っている。香港では、日本支給額と香港支給額の合計を香港税務当局に対して課税所得として税務申告していたが、中国では一切申告納税していなかった。

Aさんは年間183日を超えて中国内で勤務していることから、今回の通達に基づき2003年1月から2004年6月までの過年度分の修正申告を行った。それ以降は毎月納税申告している。

Aさんの場合は、中国滞在日数が183日を超えていたことから2003年1月1日より2004年12月31日までの納税を終了しました。香港で過年度修正申告の対象となるのは、2002/03年度(2002年4月1日から2003年3月31日期)期間中の3カ月分と、2003/04年度(2003年4月1日から2004年3月31日期)の12カ月の計15カ月です。

2004年4月以降9か月分の中国個人所得税納税額については、2004/05年度(2004年4月1日から2005年3月31日期)の香港給与所得申告で調整します。

すべての個人が一部取り戻せるわけではありません!

中国で個人所得税を納税したからと言ってすべての場合に香港で一部取り戻しが可能になるわけではありません。香港税務当局に申告した課税所得の範囲の状況(日本支給額を入れていない等)や、申告方法(既に香港で日数按分申告を行っている等)により、取り戻しができない場合があります。

近年、香港税務当局の徴収管理も非常に厳しくなってきています。まずは貴社の香港会社の給与所得税申告状況を確認し、その上で過年度納税額の一部取り戻しの可能性を検討してみてください。

香港における給与所得税の実務上の取扱いについては、その実行前に必ず専門家へご相談ください。

※(本稿は著者個人の意見であり、所属する法人とは関係ありません)


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