2004年12月8日

第18回税法と会計の違い~開業費と減価償却~


年度末決算の時期になりましたね。今回は税務と会計で処理が異なるため加減算調整が必要な2項目について解説します。

開業費

営業許可を取得したあと生産や販売を開始するまでの開業準備期間に発生する、土地・建物関連工事、設備調達、従業員採用など、様々な経費について、会計上は一旦、長期前払費用として貸借対照表に資産計上され、生産経営開始時に一括償却して損益計算書の管理費用に振り替えられますが(企業会計制度第50条)、税務上は生産経営開始時から5年以上の期間にわたって均等償却していくこととされます(外商投資企業所得税法実施細則第49条)。

税務上の開業準備期間についての規定は「企業が開業準備の認可を受けた日から起算して生産および経営を開始(試生産および試営業を含む)した日までの期間」とあり、生産性企業であれば、生産設備の試運転、使用予定材料の調達、生産予定製品の試作、試作品に関しての社内および取引先の品質確認、本格生産(量産)に向けての生産工程全体の確認、量産開始、量産製品の販売など様々な段階がありますので自社の現状に適した「生産経営開始」の判断が必要となります。

早いタイミングとしては試作品生産のための許可申請・認可や試作品生産のための材料の工程への投入などがあり、遅いタイミングとしては量産品の販売開始あるいは発票の発行などがあります。

減価償却

固定資産の減価償却は残存価額を原則として取得原価の10%以上とし、減価償却方法としては原則として定額法、減価償却年数は最短で「建物、構築物は20年」「列車、船舶、機械およびその他の生産設備は10年」「電子設備、車両運搬具(列車、船舶以外)、器具、工具などは5年」です。

図表
従来は、残存価額の減額、定額法以外の採用(例えば定率法)および減価償却年数の短縮には、それぞれ税務局の認可が必要でしたが、規定上、現在は残存価額の減額(ゼロ)、定額法以外の採用に対する事前認可は不要となりました。

新たに購入する固定資産の残存価額は暫定的に一律10%としますが、使用年限終了時に売却できない、または売却価値がないと見込まれる固定資産については、残存価額をゼロとすることもできます(国税発[2003]127号)。

税法に規定する以外の減価償却方法を採用する場合、固定資産の使用を開始し、または減価償却方法を変更した後の最初の納税年度において、年度の企業所得税申告書を提出するときに、採用した減価償却方法、採用理由などの説明資料を合わせて提出します(国税発[2004]80号)。

ただし、税務局が審査した結果、理由が不十分な場合や状況が事実に合わない場合には、税務調整項目となりますのでご注意を。

これ以外にも、各種資産の損失について税務局の事前認可が不要となるなど行政手続きの簡素化が図られています。おっと忘れてはいけないのが交際費。

損金算入限度超過額は下記の通りです。年末年始の忘年会シーズン。健康と税法限度額を考えて宴会プランを立てましょう。

※(本稿は著者個人の意見であり、所属する法人とは関係ありません)


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