2004年10月27日

第15回税務をめぐる問題 東北3省増値税優遇政策開始の巻


これって、東北3省の8大業種の会社さんについて、設備投資関係仕入増値税を売上増値税から控除することによって、増値税負担を軽減するとともにコスト負担も軽減するという優遇政策のことですよね。

最近この増値税優遇政策に関する問合せ、非常に多いです。

まず2004年1月29日に国家税務総局から国税函143号文件が発布され、優遇税制が受けられる8大業種(東北3省にある設備製造業、石油化学工業、自動車製造業、農産物加工業など)が定義されました。

そして9月14日に本増値税優遇税制に関する重要規定として財税156号文件が発布されました。この規定によって今回の優遇措置が7月1日に遡って実施されること、控除できる増値税の範囲や計算式が明らかになりました。

さらに具体的な実施方法および04年度の過渡的措置を明確化するために9月20日に財税168号が発布されました。

04年度の具体的な実施方法

財税168号によると04年度については、控除ではなく還付の方式がとられることになり、企業の資金負担が大きく軽減されることになりました。具体的には、

(1)設備関係仕入税額は、まずは7月1日までの未払増値税と相殺する。これによって、7月1日までの未払増値税を納税しなくても良くなりました。

(2)相殺後も設備関係仕入税額残高がある場合、その残高に基づいて04年に還付されるべき税額を計算します。還付されるべき税額は04年度の納付すべき増値税累計額が03年度のそれを超える額が上限となります。これによって、限度額の範囲内で企業の資金負担が軽減されました。

今年度は10月末と12月末の2回に分けて還付され、今年度中に還付されなかった税額は翌年に繰り越すことができます。

注意すべきは、今回の対象となるのは7月1日以降購入分の設備の部分であり、増値税専用発票を入手し、税務局の認定を受けなければならないという点です。

7月1日~9月30日までの期間に設備を購入し、すでに普通発票を受け取っている場合は、それを増値税専用発票に交換でき、仕入先は交換を拒否できません。

また、国家税務総局は9月30日に国税函1111号を発布し、財税168号の諸手続きの管理を強化するために管理ポイントを明らかにしました。

この中には、税務局は発票などの関連証憑と固定資産帳簿と固定資産実物が一致しているかどうかを会社へ行って審査すべき、と記載されています。この通達のその他の管理ポイントも要注意ですね。どうもこの点について、貴社の会計担当者や固定資産管理者に確認しておいた方がよさそうですね。

今回の措置はあくまで04年度限定です。たぶん年度末までに05年度以降の措置についての重要文件が発布されることと思いますので、要注意ですね。

※(本稿は税務会計上のポイントを実践形式で解説したものです。著者個人の意見であり、所属する法人とは関係ありません)


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