2004年6月23日

第6回印紙をちゃんと貼っていますか?


北京市では、毎年1月末までに印紙税に関する年度申告をするよう規定されていますが、2月以降、北京市地方税務局より年度申告漏れを指摘する電話がいくつかの企業に入り、単に申告が遅れたことだけに対する罰金(500元ですが)を徴収されたところがありました。

今回は印紙税(印花税)の徴税強化に関するお話です。 今年に入ってすぐ、国家税務総局より印紙税の課税強化に関する通知が立て続けに出され、これを受けて北京市でも今年5月に北京市印紙税確定徴収管理弁法が出されています。印紙税は、課税対象が広く、一目瞭然で未納かどうかが分かってしまうため、税務調査で指摘されやすい税目の一つです。税額もさることながら、滞納金(1日あたり0.05%)、罰金(50%~500%)も取られれば、相当の金額にもなります。

FAXでも「課税文書」

中国では、名称(注文書や指示書など)、伝達方式(FAXなど)、片方のみのサインなどという形式にとらわれず、数量、規格、受渡日時、決済方式という実質的な取り決めのある文書を課税文書として認定します。中国ではこのように実態を重視するとともに、契約書を中国内で法的に有効とするためにも印紙の貼付が必要とされます。日本側の当事者が中国で契約書をもとに訴訟をするというような場合であれば、契約書への印紙の貼付が必要になるというわけです。ちなみに、購入販売契約書の場合の税率は売買金額の0.03%です。

一方、日本では、工事請負契約など金額の大きな単発契約については契約金額の記載のある契約書を作成しますが、継続的な取引であれば金額記載のない基本契約書を作成し、1通につき定額の印紙を貼って済ませるケースがよくみられます。その後は電話、FAX、Eメールなどによる注文に応じて納品書とともに商品を受け渡し、販売代金回収時に領収証を発行する必要があればここに印紙を貼付します。日本の印紙税法では、作成者が納税義務者とされ、課税標準として、正本1通ごとに課税されることとなっています。

アパート契約更新にも印紙

例えば日本と中国現法との間における原材料や製品の輸出入に関する基本契約についてなら、1つの契約書を日中契約当事者双方が共同で作成した場合には、連帯納税義務を負い、日本側、中国側双方の正本に印紙が必要ということです。

中国でのアパートやオフィスビルなどの不動産賃貸借契約の場合、例えば1年契約でその後自動更新(家賃は別途取り決め)とされているケースが見受けられます。まず契約金額1年分の印紙(賃貸契約金額の0.01%)を貼付していることでしょう。1年経過後、税務上は自動更新の際に、契約更改後の契約金額に応じた印紙を再貼付しなければなりませんが、ついつい貼付するのを忘れている場合があります。

税務調査で指摘された場合の罰金もさることながら、明らかに分かることをやっているかいないか、は税務局の会社を見る目にも影響してきます。「しっかりした会社だな。手ごわいぞ」と思わせるためにも、印紙税の納付状況を定期的にレビューされることをお勧めします。より高度なテクニックとしては税務調査対策としての“おみやげ”として敢えて残しておく、というのがありますが、これは少なくとも日頃からの税務局との交流があってこそ有効であるので安易な使用は避けるべきでしょう。

※本文は著者個人の意見であり、所属する法人とは関係ありません


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