2004/10/05

第09回 QCC(正直な作業者と利口な監督者)



ちょっと皮肉っぽくサブ・タイトルを入れたが、どこの国に行っても、作業者は正直である。まじめである。しかし、表現力、説明の仕方はまだまだなので損をしている。

監督者は、入れ替わりが激しい。人の管理はどの会社でも共通であるかもしれないが、技術は会社によって異なるものであり、技術面での弱さが目立つ。

現場の情報は明らかに作業者の方が多く持っている。これは日本でも同じことだと思う。これを立場上、経験の少ない監督者が現物に触れないで判断をするので、うまく行くはずがない。

QCC(Quality Contorol Circle=品質管理サークル)はマレーシアの国家生産性公社(NPC)でも力を入れており、ポスターなど独自のものも多く作られているほか、セミナーや大会なども開催されている。だが、日系企業の取り組みは、大掛かりとなるせいか、大企業以外はあまり導入されていないようである。

QCCと言っても、意外と難しいものであり、作業者レベルでは、立派な発表は難しい。このため、リーダー・クラスでQCCを行なっている会社もある。最初は良いが、だんだん発表が上手になりすぎてくる。内容が乏しいものでも、立派なもののように発表をする。ちょっと問題かもしれない。

一方、作業者をベースにすると、発表はうまく行かない。活動も結構難しい。しかし、本音や正直な情報が得られる。

私がコンサルテーションを行っているある会社で、ゴミ、ほこり、汚れといった広範囲にわたる原因の特定が難しい問題が顧客からクレームとして出された。全作業者の意識付けのため、考えられる原因をグループで討議してもらった。結果に対しては、意外と素晴らしい的を射たものが多かった。さすがに現場で作業をしているだけあって、重要な、われわれでは気が付かないポイントを指摘していた。中には、自分たちが叱られそうな内容もあり、正直さに感心した。

なぜこのように話し合いが上手く進んだのか不思議に思ったが、どうやらQCC導入で行ったブレーン・ストーミングが役に立ったようである。それなりに自分たちの意見を言うということが身に付いていたようであった。意外なところでQCCが役に立った。

解説図

難しいところで、私も悩むところである。会社の規模、仕事の性格などによって異なる、また国民性などによる影響もあり、個人の自己主張が強いシンガポールは成功したとは言えない。上の表は勝手に作成したものだが、ガイドにはなると思う。

QCCは、モラルの向上という長い目で見ていただきたい。直接的な効果を狙うのでは、満足が行かないと思う。

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