2004/09/07

第07回 ISO9000 だけでは生き残れない



マレーシアに、ISO 9000 が導入された1990年代において、ISO 9000 を入れれば仕事は安泰、注文がどんどん来るという誤解があった。 これまで指導にあたった会社で、売り上げが2倍になった会社もあったが、これは純粋にISO 9000 のお陰というよりも、ISO 9000 導入の過程で行なった改善が、お客様から高く評価されたからにほかならない。ただ、ISO 9000 が活動をけん引したという点は高く評価できる。 その後、世の中は変化し、ISO 9000 を導入したけれど、品質が向上しないという反応が大きくなってきた。

ISO 9000 の考えられるメリットを考えてみると次のようになる。

1、営業上有利である(新規顧客開拓時) 2、品質管理システム確立に役立つ 3、顧客クレーム対応など具体的に役に立つ 4、全社活動の核となる

これらについて具体的に説明をする。

(1)営業上有利である(新規顧客開拓時)

現在の顧客は供給業者の品質レベルおよび納期について知っているので、特にISO 9000 の必要性はないが、新規顧客開拓の場合は非常に有効である。実際に顧客の立場に立つと、ISO 9000 取得企業は安心できる。

(2)品質システム確立に役立つ

TQC(Total Quality Control)に代表される日本の品質管理システムには素晴らしいものがある。個人的には、ISO 9000 よりも優れていると思う。しかし、品質管理システムとして、全体を素人に説明しようとすると難しいものがある。

多分に高いレベルの常識というものを持っていないと理解が難しい。日本の品質管理システムは経験的なものがあり、サクセス・ストーリーの集大成ともいえる。アプローチは帰納法的であり、学校で教える演繹(えんえき)法ではない。演繹法を教えるのは比較的簡単だが、帰納法を教えるのは結構大変である。

ISO 9000 は英語で書かれているし、マレーシアには多くのコンサルタントもおり、取り組みやすいといえる。本来は日本のシステムを入れたい場合でも、まず、全体の骨格はISO 9000 で作るという方法もあろう。

(3)顧客クレーム対応など具体的に役に立つ

解説図
社内規則があまりハッキリしていない場合などは、顧客クレーム、文書管理、教育システムなど、ISO 9000 をベースに規則を決めても良いであろう。この場合は、2000年版よりも1994年版のISO 9000 の方が使いやすいかもしれない。

(4)全社活動の核となる

従業員の意識改革、改善の機動力、核となる。会社のレベル・アップ、改善のために、TQCなどの全社的改善の手法があるが、ISO 9000 もこれと同様に、改善の旗印として全社をけん引するのには良い手法だ。特に、TQCと比べると、具体的でかつ労力も少なくて済む点が有利といえる。

最後に、ISO 9000 を私なりにまとめると、次のようになる。

「ISO 9000以外にも、さらなる改善、改革などの活動が必要である」

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