2004/08/03

第05回 老朽化する設備の保全と修理



多くの日系企業がマレーシアに進出したのは1980年代である。

進出後、10年以上経っている会社がほとんどである。

会社の設備依存度は業種によって違ってくるが、メッキ、塗装、熱処理などの設備が1つしかない場合には、その工程に異常が発生すると、致命的になる。日本と比べ、海外の方が機械のメンテナンス費用は高くつくのではないかと、常々考えている。理由は、以下の通りである。

(1) 機械のメンテナンスを行うスタッフの技能のレベルが低く、外部に修理を依頼する依存度が高い。

(2) 機械の多くが日本から購入したものであり、取扱説明書などが日本語で書かれていて現地スタッフには読めない。

(3) 交換部品は輸入となり輸送費が追加され、割高になる。

(4) 日本から修理に来る場合、交通費および日当(往復の日数が掛かる)が高くつく。

一方で、時間も掛かる。

(1) 機械のメンテナンスを行なう技能のレベルが低く、問題の発見に手間取る。

(2) 現地での修理が難しく、日本に依頼するケースが多い。

(3) 日本との交信に時間が掛かる。

(4) 簡単に日本と現地の往復ができないため、詳細を詰めてから、修理に来るようになり、問題の詰めに時間が掛かる。

(5) 日本からの派遣に時間が掛かる(これからパスポートを取るというケースもあった)。

設備の老朽化と、問題点はわかった。それでは、対策はないものであろうか。

対策はあるが、時間がかかる。しかし、会社の経営という観点からは、取り組まなければならない事である。

以下に、私の経験に基づく考え方を述べさせていただく。

(1) メンテナンス作業者の教育

実務ベースで行う必要がある。日本での研修、日本からの派遣員による指導など。(マレーシアのメンテナンスはあまり期待できない。屋内の電気配線を見ると、よくこれで火事にならないと感心する。)

最悪は、機械を修理しているように見えるが、結果は壊していたというケースも見受けられる。

(2) 設備関係の取扱説明書の整備

日本語でも良いから、保管をしておきたい。配線など、現地スタッフでも配線図を読めるスタッフであれば、理解できる。

日本人が直接日本に国際電話をして問い合わせをする場合も分かりやすく、日本から修理のスタッフに来てもらわなくても済む場合がある。

(3) 機械に付いているメーター類の読みのチェック

これだけで、問題が分かるケースもある。機械にはメーター類が付いているが見ていないケースが多い。機械メーカーの怠慢と思うのであるが、多くの場合、管理値が記入されていない。メーターを読むことはできるが、正常かどうか判断できないということである。メーターを読めるようにして、管理値を調べ、表示し、定期的に記録し、異常な場合は原因を調べる。これだけで、致命的な問題の発生を防ぐことができるケースがある。

これらの対策は最低限を述べただけである。しかし、これらの対策が実行できない企業が大部分であり、修理に多額の金を払っているのが現状である。

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