2004/07/20
第04回 (2)-メリハリの利いた人事システムを
[どうすれば良いのか]
「出入りの激しいスタッフ」「能力のないマネジャー」。すぐにでも改善したいと、日本人なら誰もが思っている。海外に来てまで、こんなくだらない事(本当は大切なこと)、仕事以外の事(本当はこれが仕事であるが)で頭を悩ませるのはいやだと思うのが本音であると思う。
「現地の人事がなっていない」と思われる方もおられると思う。その通りである。見ていると、ほとんどの会社の人事はしろうとである。結局「人事」は「人事(ひとごと:他人事)」になってしまっている。
[人事システム]
人事システムをまとめて言うと図のようになるのではないかと思う。
1. まず職務記述書を作成し、どのような仕事をするのか明確に記述する
2. 次に、この職務記述書に基づき、その仕事をするのに必要な能力を明らかにする(職務資格)
3. 新しいポジションが設定されたり、既存のポジションが空白となった場合、その職務資格を満たす在籍者を捜す。社内に該当者がない場合は社外から募集する
4. 資格を有する者が見つかったら、そのポジションに任命する(社内のスタッフにとっては昇進)
5. 新しいポジションでの業績について職務記述書と照合し人事評価を行う
6. 人事評価の結果は、賞与に反映させるとともに、空白となったポジションにスタッフを昇格させる際の資料として活用する
7. 社内のスタッフについては、自己啓発または教育により能力を高め、さらに上の職務資格を満たすように指導する。また、職務資格は常に完全ではなく、不足する部分は教育・訓練において補充するようにする
8. 現在のスタッフの能力向上後は、ポジションに空白が生じた場合、さらに上のポジションに就く候補者となる
ここで、会社として行っておくべき事をまとめると次のようになる。
◇職務記述書
各ポジションで行う業務の詳細、具体的で細かいほうが良い。
◇職務資格
職務記述書に基づく、その仕事に就くために必要な能力。具体的で詳細にわたるほうが良い。
◇人事評価表
だれもが、客観的に、同じように評価を行う事ができるような評価表にまとめる必要がある。工夫が必要。
一般的には、細かく具体的であれば、あるほど良い。ただし、無理をして細かく書いたものはかえってまずい。
◇人事評価の結果が昇進、昇給、ボーナスへと反映するシステムが必要である。
最終的には、ここがかなめであり、成果がすぐに何らかの形で評価され、本人にフィードバックされる事が、全従業員のやる気を出させるポイントである。がんばったスタッフは評価され、がんばらなかったスタッフは置き去りと言う事になる。仕事をしても、しなくても同じ給料、同じ待遇で、ポジションは学歴だけで決めるという悪平等は、会社に貢献しないスタッフを残し、大切なスタッフを失う事になる。
◇教育訓練
現在の仕事の質を高め、仕事を効率的に実施するために必要な教育を行う(決して、他社に高い給料で転職をするために、社外で修了証書をもらえるセミナーに参加させるものではない)。
特にOJT(On the Job Training)が最も大切であると思う。