2004/07/06

第04回 (1)-メリハリの利いた人事システムを



東南アジアの経験も長くなり、タイが4年半、シンガポールが5年半、マレーシアが7年になった。

これらの国の人々を会社の中で見ると、次のように感じた。

タ イ:人情があり、上司と部下の関係でも親分子分の関係がある。面倒をみると返してくれる

シンガポール:殺伐とし、足の引っ張り合いといった感じであった

マレーシア:おとなしい。上司の言う事は絶対

マレーシアでは7年にもなり、職業柄、多くの会社を見てきた。モチベーション、叱咤激励、教育指導、などいろいろ行ってきたが、行き着くところは評価であった。

中国人は金がすべてということは、シンガポールほど露骨ではないが、マレーシアにもある。しかし、転職も、ある一定の年齢に達すると、分別がつくらしく、落ち着いてくる。また、個人差が大きい。

会社を辞める理由

作業者クラスは少し給料が高いだけで他社に移るということもあるようだが、スタッフ以上では、給料は会社を辞める直接の理由にはなっていないようである。

真の理由としては、

(1)これ以上、この会社にいても学ぶべきことがない(と感じる)
(2)人間関係(現地スタッフどうし)
(3)新しく来た日本人上司と合わない(しっくりこない)
(4)自分が正しく評価されていない(と思う)
(5)自分で仕事をしたい(他者からの働きかけがある)

こんなところが、私が会社を辞めることになった現地スタッフと話し合った時の本音であった。

会社にとってマイナスのスタッフには辞めて頂きたいのだが、辞めるスタッフはだいたい、そこそこに評価を受けている。彼らの辞職は致命的ではないにしろ、困るものである。

辞める人の気持ち

辞める人達の気持ちは、自分が正しく評価をされていないというものが圧倒的である。なぜ、そうなっているかというと「昇格=評価」という図式があり、昇格をしないと評価をされていないと判断するようである。

しかも、2~3年で昇格をしないと評価をされていないと思うようである。

近代化の歴史が浅く、会社というものを十分に理解していないところから来る誤りであると思うが、放っておいて良いものでもない。

結局、上司が諭すことになるが、現地の上司は必ずしも説得できるとは限らない。物事の本質を知らないのだからしょうがないともいえる。

かえって、日本人が諭した方が、本人が納得するケースも多い。(シンガポールなどの場合は、現地の上司は変な取り引きをしてしまう。手当てや昇進を約束してしまったりである。

結局、敵もさる者で、価格交渉に引き込んでくる。安易な妥協をすると、翌日皆が辞表を持ってくる。給料を上げてくれということである。

釈迦に説法かも知れないが、人事の基本は公平ということである。どんなにがんばってくれたスタッフでも、原則の枠は外せない。給料が安いというのであれば、止むを得ないと割り切る必要がある。

悪い前例を作らないことが大切である。結局、後からもっと優秀な人材を雇用することができたという話は良く聞く。

冷静になって考えてみると、非常に良くやってくれるスタッフと思っていても、日本人の基準で見ると当たり前のことで、周囲の現地スタッフの気が利かなかったり、責任感が弱いために、非常に優秀なかけがえのないスタッフに見えてしまったりすることがよくある。(続く)

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