2003年11月18日

第96回 麗達精細化工<マンダム>、男性用化粧品市場のリーダー格



日本では既にスタンダードな製品となった男性用化粧品。近年は中国でも所得の増加にともない急激に普及が進み、一大市場を形成しつつある。各メーカーがしのぎを削る中で、先駆者として市場をリードしているのが、広東省中山市で、あの「ギャツビー:GATSBY」ブランドの製品をメインに生産・販売している麗達精細化工有限公司だ。

生産ライン
同社は1996年、株式会社マンダムらによる中外合弁企業として誕生。現在はマンダムのほか日本の牛乳石鹸、佐々木化学、香港の新華公司が出資する100%外資系企業となっている。現在生産しているのは「ギャツビー:GATSBY」ブランドのヘアカラーや整髪料など男性化粧品、また女性用「ルシード・エル:LUCIDO・L」ブランドの化粧品、ほか牛乳石鹸ブランドの洗顔商品やシャンプーなど、合わせて100種類以上に上る。現在の年産保有規模は整髪料、頭髪用品が3,100トン、香水・スキン・美容品が4,500トン、ほかボディーシャンプーなどの衛生用品が7,400トン。マンダムにおける3大生産拠点の一つでもある。

「現在、日本から輸入している原材料が50%、ほか現地調達が50%。今後、さらに現地化を進めていくことも課題の一つだと思っています」と語るのは、同社の前田泰治・副総経理。マンダムのもう一つの生産拠点でもあるインドネシアの子会社にトータルで30年近くかかわり、92年には上場を実現、その後インドネシアでも有数の化粧品会社になるまで育成させた功労者の一人だ。

「ギャツビー」のヘアカラー生産現場を見せてもらった。メイン工場の敷地面積は2,700平方メートル。直接肌に触れる敏感な製品を扱うためか、工場内が清潔なことに驚かされる。工場内は染料、酸化剤など原材料がタンクの中で調合され、オートメーションで次々と装填されていく。製品は全て装填量や成分が基準と異なっていないか確認され、パッケージングを経て出荷される。国内販売のほか大多数が輸出にまわされるため、品質チェックには万全を期しているという。2002年にはISО9001も取得している。

■市場を狙うトップダウン戦略

前田総経理
現在、国内販売は広東省をメインに行っている。リサーチをかけてアイテムを選択、「市場を狙うにはトップダウン戦略が重要。ピラミッドの上から浸透させていく」ことを目的に、日本でトップとなったバックグラウンドを武器として、中間層以上の消費者を対象としたブランドとカテゴリー戦略を進めている最中だ。今後は上海など他の地区でも随時販売を行っていく計画という。ドラッグストア大手「ワトソンズ」などでの展開に重点を置いていることもあり、店頭で目にすることも多い同社の製品だが、中国独自の複雑な流通に悩まされるなど国内市場では苦戦を強いられることも多かったという。「以前は外資系の流通企業も余りなかったので、流通ルートから売掛金の回収まで、気を使うことが非常に多かった」という前田副総経理。「世界貿易機関(WTО)加盟後は流通の再編も進み、安定して伸びていける環境が整っていく。将来的には問屋を通して、大手小売り以外での一般販売も可能となっていくはず。これからが正念場です」と述べる。

なにかと類似品が出回りがちな昨今、同社の製品も被害にあっているとのことだが、前田副総経理は「それだけ受け入れられた証拠。何にしろ、製品の創造と生産の過程に熱意のこもっていない製品はいつか淘汰されると考えています」と自信を見せる。今後はヘアカラーの普及に力を入れるほか、マンダム、牛乳石鹸の製品ともにコーディネートを進めながらシェア拡大を狙う。将来的には国内での売上を生産量の7~8割まで伸ばしていきたいという。前田副総経理は「日本と同じく中国の男性化粧品でもトップを狙います。総合化粧品メーカーとして発展していきたい」としている。

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