2003/09/16

第88回 広州明治製菓<明治製菓>、中国に「質の高いお菓子」を広める伝道師



カール、グミチョコ、YANYAN……日本で誰もが一度は口にしたことがある明治のお菓子。ここ数年で中国でも販売されるようになり、場所を問わずいつでも日本と変わらない味を楽しむことができるようになった。中国市場にもすっかり浸透した感があるが、広州を拠点にこれらお菓子の中国での生産・販売を担っているのが、広州明治製菓有限公司だ。

同社の上原隆一・董事総経理
中国の急速な発展をにらみ、同社が広州に進出して操業を開始したのは1993年6月。同社は当時、香港で香港側のパートナーと共同で事業を展開しており、一定の成功を収めていた。広州を選んだのは、香港に近いという地の利を考えてのことだ。明治製菓と香港のパートナーに中国企業2社を加えた、4社共同体制で生産はスタートした。

当初はまずスナック菓子「カール」の生産から開始。現在はカールのほか、グミキャンデーをチョコレートでコーティングした「グミチョコ」、棒型のビスケットをチョコレート、ストロベリーなどの半液体状のフレーバーにからませて食べる「欣欣(YANYAN)などをメーンに生産。広州、上海、北京で商品展開を行っている。

中国市場で今もっとも売れているのはYANYAN。現在は24時間フル操業で生産を続けており、月産量は15万個に達しているがそれでも追いつかないほどの人気だという。同社の上原隆一・董事総経理は「地道なマーケティングを進め、2年前からデザイン・包装を一新、種類も増やしました。それがよかったのでしょう」と語る。

■温度にもこだわる生産ライン

YANYANの生産ライン
YANYANのビスケット詰めなど、従業員が手作業で行う一部工程を除き、生産ラインはほとんどが自動化されている。とうもろこしからおなじみの形に加工されたカールは高温でこんがり焼かれ、フレーバーをまぶされてパッケージングされる。その隣ではYANYANが次々とパッケージングされ、箱に詰められ運ばれていく。

チョコレートなど温度に敏感な食品を扱うため、YANYANやグミチョコなどの生産ラインの周辺は常に19度前後に保たれている。チョコが溶けるのを防ぐほかにも、温度によってチョコレートの「つや」が無くなってしまうことがあるためだ。カールのとうもろこしなど、原材料はほとんどが現地調達だが、グミチョコのチョコレート部分など、まだ現地で生産できない一部材料は日本からの輸入となっている。

入居している工場が古くなってきたため、同社は近く新工場を設立し、キャパの補強を図る計画を進めている。それにあわせて、今後は設備の問題から現地で生産できなかった商品、また今まで輸入に頼っていた一部原材料の生産も開始する計画という。

食品メーカーだけに、衛生には人一倍気を使う。新型肺炎SARSがまん延した時に確立した、マスク、手洗い、うがいなどの厳戒態勢は今後も維持していくという。「食品メーカーとして衛生面に万全を期すのは当然です」と上原董事総経理。

現在同社の社員は60人、ワーカーは100人。上原董事総経理は従業員に対し「自分が買う気で物を作れ」と常に呼びかけている。消費者としての目線を忘れては物は作れない。同じ理由でマーケティングにも力を入れている。質の高いものをいかに消費者の求める形で提供していくか、まだまだ考える余地はたくさんある、という上原董事総経理。

「YANYAN、グミチョコ、カールだけが明治製菓の製品ではありません。今後はさらに生産できるラインナップを増やし、皆さんにおいしいお菓子を提供し続けていきたいと考えています」と語ってくれた。

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