2003/08/19

第84回 東莞友華汽車配件<ヨコオ>、快適カーライフを支える、車載アンテナのスペシャリスト



ラジオの受信からGPS(全地球測位システム)の利用まで、今や車載通信機器なしでは快適なカーライフは語れない。そのキーコンポーネンツである各種アンテナ・中継コードなどを生産するスペシャリストとして、快適なカーライフの基板を担っているのが東莞友華汽車配件有限公司だ。

経営陣
同社は日本の(株)ヨコオ100%出資の独資企業。当初は同じくヨコオ系列の東莞友華電子で事業を展開していたが、1995年11月に営業許可を、96年3月には生産許可を取得し、同年8月には東莞友華電子から分離独立、本格的な生産を開始する。東莞という土地を選んだ理由について、同社の飯田正雄董事長は「香港のほか広州、深Aに近く、物流デリバリーの面で優位性を感じたからです」と述べている。

メーンで生産しているのは車載通信機器のキーコンポーネンツとなる中継コード、マニュアルアンテナ、アンテナマスト、モーターアンテナ、GPSアンテナ、また樹脂成形部品などだ。中でも中継コードの月産量は70万本、GPSアンテナは30万本を誇っている。またマニュアルアンテナやアンテナマストなどの月産量も20万本に上る。近く新たな製品の生産移管も計画されているという。99年2月にはISО9002認証を取得。2001年1月にはにはISО14001認証、7月にはQS9000認証も取得している。

■社内での一貫生産

生産ライン
同社が持つ第1、第2工場には、全ての生産を一貫して行える体制が整えられている。第2工場では樹脂成形機50台が次々と各種樹脂部品を生産、完成した部品はGPSアンテナやモーターアンテナなどのラインにまわされ、配線などと合わせて組み立てられて完成品となっていく。また第1工場ではステンレス板がSUSパイプに加工され、切断、洗浄、研磨を経てアンテナの形に整えられていく。これもまたアンテナ生産のラインにまわされ、他の部品と合わせて組み立てられる。組み立てラインも一部をセル型にして、省スペースとスピードアップをはかるなど、各所に工夫の後が見てとれる。

コストやリードタイムを考えた場合、現地での原材料調達は必至だ。同社では、原材料は指定のものを除き、ほぼ現地調達するという体制ができている。

■ローカライズの実践

同社の従業員は現在、日本人4人、中国人909人の合わせて913人。「以前は日本人も8人いたのですが、中国人スタッフが育ったので必要なくなりました。日本人がへたに口を出すよりも、きちんと管理のできる中国人スタッフに任せたほうがスムーズに進むものです」と高橋康隆総経理。確かに製造部はローカルスタッフによる完全な管理がなされており、日本人管理者の名前はない。同社はさらに今後を背負って立つ人材を育成するため、毎週4回におよぶ日本語講座の開催、また資格認定制度の実施などスタッフの教育に力を入れている。

日系企業ならではの製品に対する飽くなきこだわりと、その魂を受け継いでくれる優秀な人材を育成していこうという姿勢が、同社を支えているといえよう。

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