2003/07/22

第80回 可宝得環保技術(深セン)、中国に『安心で良質な水』を



今や中国の生活における必需品となった、飲水器設置型の飲料水。家庭やオフィスでの需要が増えるにつれ市場も拡大を続け、最近では価格だけでなく水の味や成分、品質にこだわる消費者も増えつつある。可宝得環保技術(深セン)はそんな中、製品の品質の高さと独自性で消費者から歓迎をされているメーカーの一つだ。

経営陣
同社の設立は2002年12月。本格的な営業を開始したのは03年の3月からだ。同社がメーンに販売しているのは、商品名「蘇生水165」と「純水104」の2種類。特に人気という「蘇生水165」は、日本技術による特殊なセラミックを用いて水分子の結合角度を、従来の104.5度から165度に誘導する独自の技術によって生成されたもの。7月初旬には深セン市消費者委員会から「喜愛品牌(好まれるブランド品)」にも選ばれている。特徴として、結合角度を変化させたことにより◇水が腐らない◇体への吸収性が高い◇特殊フィルターを通すことで体に無害の無機質を残し、体に悪い病原菌や有機質などを取り除く除菌効果――などの利点があるという。現在は深A、東莞を中心に販売店15店舗を展開。1日あたりの売上本数も1,000~1,500本に達している。顧客は日系企業だけでも100社を超えているという。

■水へのこだわり

製品
「91年初めて中国に来た時に、水にやられたんですよ」と語るのは同社の久保田昭夫董事長。大手電器メーカーの海外事業担当などを経て現地での会社設立を担当、業績が安定したところで02年に同社立ち上げをバックアップした張本人である。「中国の水を何とかしたいとこだわり続けていた時、ちょうど日本で水の事業を展開している知人と出会ったのが設立のきっかけです」と久保田董事長。ちなみに社名の「可宝得」は、現職経営陣が董事長の名前をもじってつけた名前という。

同社の工場内では、原水が沈殿、ろ過、オゾン殺菌、蘇生処理などの各種工程を経て、次々とボトルに詰められていく。万全を期すため、タンク詰めの工程は全て加圧された空調・無菌室の中で行われる。また再利用されるタンクは9回にわたって洗浄が行われており、雑菌や異物を徹底して排除するシステムとなっている。

広東省では先日行われた抜き取り検査で、市場で販売されている飲料水の不合格率が40%近くに達するなど、粗悪な水が出回っていることも問題となっているが、久保田董事長は「あってはならないこと」とメーカー側の自覚を促す。「企業のためではなく、消費者のために良質なものを提供することがものづくりの基本であり、また神髄でもある」。水業界の今後については「市場の信頼に応えられる質のいい水だけが残る。飲料水市場でもこれからは淘汰が進むでしょう」と語っている。

■目標は全国展開

現在は深Aを拠点にネットワークを展開している同社だが、このところ東莞地域からの受注増加を踏まえ、将来的には全国展開も考えているという。「近い将来、現在の中国人スタッフが経営者となって独り立ちしてくれるのが目標」という久保田董事長。スタッフへの指示はアドバイス程度にとどめ、自立を促すための教育に力を入れているという。「中国で商売をする以上、企業の利益に加え地元の利益を考えることが大切。現地のスタッフとともに成長していくこと、これもまた異国でものづくりを進めるうえでの基本です」と語ってくれた。

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