2003/04/22

第68回 横崗六約新耀塑膠五金制品廠<新耀(香港)>、カーテンレールからプラスチック小物まで



ふだん何気なく使っている各種プラスチック小物。現在は中国で生産されているものがほとんどだが、その中でも品質の良さで高い評価を得ているのが、新耀(香港)の中国本土工場である横崗六約新耀塑膠五金制品廠だ。メーンはカーテンレールおよび関連部品の生産だが、充実した設備と,梱包・出荷まで社内で一貫して行う利点、またカーテンレール関連部品の生産で培った技術と高い管理能力を生かし、近年はプラスチック小物の方面で拡大を続けている。

工場風景
新耀(香港)は1989年に香港で設立。「父親がプラスチック関連の工場を経営していた」という宮本茂治社長が独立して立ち上げた企業だ。その後94年に、生産拠点である横崗六約新耀塑膠五金制品廠が深Aに完成、操業を開始する。

現在は日本のカーテンレール販売大手、ヨコタのОEM生産先としてカーテンレールおよび関連部品の組み立てを行うほか、金属プレス部品の組み立て、文具、がん具、教材など樹脂成型品の成形、組み立てまでを幅広く行っている。生産比率はカーテンレールが60%、他の製品が40%といったところだ。「最近は日本の住宅で木製のカーテンレールを使う家も多いので、木製カーテンレール用のプラスチック部品の生産も始めています」と宮本社長。その他にも需要の増えている家電用部品などの加工を率先して手掛けるなど、市場のニーズに対応した柔軟な姿勢も同社の特徴の一つだ。

工場内ではプレス機によって鋼板が次々とカーテンレールの形に加工されていく。加工されたレールに焼き付け塗装を行い、検査、洗浄などを終えた後、同じく工場内で加工されたランナー(カーテンを動かすための稼働部分)など部品を組み込んで、包装、梱包して出荷する。他のフロアでは関連部品の組み立て、プラスチック製品の加工などが進められ、次々とラインオフしていく。

カーテンレール用の鋼板やプラスチック製品の部品など、原材料は基本的に日本から輸入しているが、その後の加工や組み立て、塗装や梱包といった工程は全て中国で行う。現在の生産額は月当たり約5,000万円。製品のほとんどは陸送で香港まで運ばれ、日本に向けて輸出される。

自己満足ではなく、客の満足を

経営陣
中国本土での工場立ち上げ当初は、文化の差異に悩まされることもあったという。実用面を重視する現地のスタッフと、あくまでハイレベルな製品を求める顧客との考え方を埋めることが求められた。操業当時から現場を見てきた同社の佐藤正美総経理は、「顧客のニーズを理解してもらうための教育を重視した」と語る。大手企業のОEMの場合、ほんのわずかなサイズの違いや汚れも許されない。自己満足ではなく、厳しい顧客の要求全てに答えられるものを作るための体制作りは、従業員が330人まで増えた今でも定期的なミーティングの中で続けられている。「品質管理は会社の命。他社が模倣できないレベルで製品を作っていかなければ生き残れない」と宮本社長。同社が一貫して掲げてきた高品質、低コストと納期の厳守が今の同社を支えている。

同社には製品を評価してくれた顧客が、新たなプロジェクトを持ちこんでくるケースも多い。これはプラスチック製品の生産が伸びている大きな理由の一つでもある。宮本社長は「良質な製品を作る事が、結果的に次の事業に繋がる」と語る。7月からは金型の生産も自社で行えるよう、金型部門を新たに立ち上げる計画だ。

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