2001年11月19日

第52回 ニコ四洲(汕頭)<ニコニコのり>、中国で造る日本の味



スナックとしての消費を中心に、中国でも需要が拡大傾向にある味付け海苔。その味付け海苔を汕頭で生産する日中合弁のニコ四洲(汕頭)は、出資会社自ら設立した海苔取り引き市場で仕入れる高品質の原料、日本から輸入する調味料などこだわりの製法で、中国の消費者に「日本」の味付け海苔を送り続ける。

章亨凱総経理、清水文男副総経理

ニコ四洲は、中国本土でも食品製造、流通に強い香港・四洲集団と海苔製品メーカーのニコニコのり、三菱商事、乾海苔乾燥加工のヤマコが香港の合弁企業を通じて設立した。

日本は海苔原料に対し輸入割当制度をとっており、海外から原料を輸入して、海苔製品を日本で加工生産することは事実上不可能となっている。ニコニコのりは1990年、シンガポールに工場を設立。そこで中国から海苔原料を輸入、加工して北米などのマーケットに出荷していた。

当初は中国市場向けも、シンガポール産の製品を香港経由で輸出していた。しかし消費者により新鮮な製品を届けるために、消費現場に近い中国本土での生産を計画。95年末に会社設立し、97年の夏に操業を始めた。 海苔製品の出来は、何と言っても原料となる海苔の味にかかってくる。中国で採れる海苔原料は、江蘇省の南通か連雲港産のものが良い。うち連雲港産は味付け海苔への加工に向いており、ニコ四洲の製品は同地の原料を全面的に使用している。

工場
その連雲港には、ヤマコが97年に設立した海苔取引所がある。ここには、ヤマコの現地合弁の海苔養殖業者のほかにも、地場系の業者が海苔原料を持ち寄ってくる。同施設が、ニコ四洲が使用する海苔原料の品質・供給の安定に大きく貢献している。

ニコ四洲では、連雲港から運ばれてくる海苔原料に【1】250度前後で焼き上げ【2】タレによる味付け【3】170度前後での乾燥【4】裁断――といった加工を施し、味付け海苔を生産している。汕頭での生産で頭を悩ませるのが、海苔の大敵である湿気。同社では海苔が風で舞い上がらないように吹き出し口が下を向いた独特のエアコンなどで湿度管理をしているが、それでも「夏場の朝は、生産開始可能な湿度に下げるまでに結構な時間を要する」(清水文男副総経理)そうだ。

製品のラインナップは普通の「原味」を中心に、「辛味」「塩焼き」「ワサビ」の4種類。ワサビは中国市場向けに開発した独自のフレーバーで、今後もこのような新製品を開発、販売していく考えという。

日本では海苔と言えばご飯と合わせて食べたり、寿司に使ったりするのが一般的。しかし中国では、海苔をオヤツ替わりに食す人が多く、したがってニコ四洲では焼き海苔は生産せず、味付け海苔だけに絞っている。

同社製品は広東省で約8割のシェアを誇る。また今年3月からは、四洲集団が青島で生産するインスタントラーメンにもみ海苔を提供。この「海苔ラーメン」が月産150万食と好調なことから、今年9月の生産量は過去最高を記録したという。

広東省では圧倒的なシェアを誇る同社だが、上海など他地域の市場では、波力といった地場系大手に一歩後れを取っている。それでも今後は他社に負けない「日本」の味で、全国規模での市場拡大を目指す構えだ。

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