2001/09/24

第46回 韓国・三国R・K精密<ミクニ・リンナイ>、暮らしの安全守る、信頼の装置



三国R・K精密株式会社は、ガス立ち消え安全装置のトップメーカー。ガスによる事故を防ぐのに欠かせない装置で、われわれの生活を守ってくれている。

photo

一般家庭にあるテーブル型ガスコンロを見ると、バーナーのすぐ横に「ペン先」に似た突起物がついているのが分かる。これがガス立ち消え安全装置のセンサー。不測の事態でバーナーの火が消えた際、自動的に生ガスの噴出をストップさせ、爆発などの事故を未然に防ぐものだ。

家庭用のテーブル型ガスコンロのほか、ガスストーブにも用いられる。家庭用ガスコンロ1台当たりの装着数は、平均2.5個という。

ガス立ち消え安全装置は、2種類の金属を接合すると、温度差が生じた時に微弱な電流が発生する「熱起電力」という特性を利用している。

センサーの役割をする「ペン先」部分は2種類の金属でできている。ここから2本の回路が伸び、コックの部分と連動した根元の電磁石につながっている。

ガスの炎で、センサー部分が熱せられることにより電流が発生、回路を通じてマグネット部分に伝わり、磁石がくっついた状態になる。これが同装置のいわば「スタンバイ」の状態。火が消えると磁力がなくなり、マグネット部分がスプリングによって押し戻されると、ガスの弁を閉じる仕組みになっている。

三国R・K精密は、ガス器具で国内シェア50%を超えるリンナイ・コリアとミクニグループの合弁。リンナイ・コリア向けのほか、韓国のガス器具各社に供給しており、国内市場で圧倒的なシェアを誇る。

当初は日本から輸出していたが、事実上の日本製品に対する輸入制限措置の対象品目に含まれる見通しとなったことから、1987年に韓国に進出した。ところが、翌年には対象品目から外れたという経緯もある。

自動化で活路

生産規模は年間約350万個。当初は手作業が主体だったが、90年代に入り、自動化による効率化を進めてきた。70人を超えていた従業員数は今年3月現在で41人。

三浦社長と田島顧問

自動化機器は日本から導入したものもあるが、90年代後半から自社設計・製作にも取り組んでいる。

さらには、日本でも手作業でやっていた工程を自動化する装置も開発。現在は、同工程を同社が請け負い、日本へ「逆輸出」している。

韓国進出から携わり、98年から社長として同社を率いてきた田島崇男顧問は「自社でここまでやったケースはないでしょう」と胸を張る。

今後は、自動化機器の設計・製作を新しい事業として育てる計画もある。今年3月に田島顧問からバトンを受けた三浦正彦社長が、具体化の策を練っていく。

「すべて全員でやります」――事務職も製品作りをするというユニークな試みも。同社では、事務職にも手作業でできる仕事量の一部を毎月ノルマとして課す。「役員も、工場に頻繁に顔を出します」(=田島顧問)という。社内の一体感を強める狙いだ。工場でも「汚れ作業」から経験させ、ローテーションする。少ない人数で柔軟に対応できるようにするためだ。

今年9月で、創立15周年。また次の挑戦が始まりそうだ。

NNAからのご案内

出版物

SNSアカウント

各種ログイン