2004年11月16日
第142回 愛知電子(中山)<シンクレイヤ>、日本のCATVサービスを支える立役者
専門チャンネルの多さなどから注目を集めているケーブルテレビ(CATV)。通常のテレビ放送のほか、近年はインターネット回線としての利用も急増、日本でもすっかり定着した感がある。そのCATVシステム機器を専門に製造、日本のケーブルテレビ普及を支えているのが、広東省中山市に拠点を置く愛知電子(中山)有限公司だ。
製品は100%を輸出。日本のほか、香港の拠点を通じてブラジル、台湾などの地域にも輸出されている。 ■製品を支える「熟練の技」 CATV関連の機器には、巻きトランスやリ-ド部品を多用した実装部品ではないものがあり、生産過程のオートメーション化は難しい。 現在、主要部品の組み込みはほとんどが熟練工による手作業で行われている。「求められるのは日本の工場と同じクオリティ。一人前の能力を身に付けるには、やはり1~2年はかかります」と同社の常盤井徹・総経理。操業開始から10年、現在はベテラン技術者も育ち「日本人がつきっきりだった当初と比べればずいぶん楽になった」という。 テレビ放送やインターネットなどの信号を通す機器だけに、ミスは命取り。信号がストップした場合、下手すればユーザーとの補償問題にも発展する可能性があるため、最終チェックは念入りに行われる。トランクアンプはCATV局からユーザーに信号を送る下り用、ユーザーから信号を送る上り用ともに、組み立ての最終工程で利得やリターンロスなどを測定、調整。また最低でも8時間以上の通電を実施し、特性の変化をチェックする体制を整えている。 ■自然環境への挑戦 内部のICやトランジスタなど核心部品は全て海外からの輸入品。一部には中国に拠点を置く日系企業の部品も使用している。部品のランクを下げれば更なるコストダウンも可能だが「ケーブルの信号が途切れた場合の責任と損失は非常に重大。部品の選定においては常に確実性が優先される」と同社の山田學・経理。現在は全てにAランクの部品を採用している。 操業後10年、今では日本での製品トラブルをほぼゼロにとどめるまでになった。今後は国内部品の採用も考慮しつつ、さらなる台数の増加を図っていく計画という。【広州・菅原湖】
|