2004年10月19日

第138回 快美特汽車精品(深セン)<カーメイト>、良質なカーアクセサリーの普及を目指して



急速に進む中国のモータリゼーション。自家用車の普及などに伴い、カーアクセサリーに目を向ける消費者も右肩上がりで急増中だ。日本向け製品のほか、現地向けカー用品の製造・販売も積極的に行っているのが深センに拠点を置く快美特汽車精品(深セン)有限公司。日本での経験を活かし、中国カーアクセサリー市場でもトップを狙う。

同社は日本でもカーアクセサリー製造・販売の最大手として知られる(株)カーメイトの子会社。中国進出当初は来料加工をメーンに行っていたが、1998年に独資として再編、その後現地での販売も開始した。

■多品種小ロット

生産ライン
現在主に生産しているのは、自動車用の香水、ルームミラー、ドリンクホルダー、灰皿、ルームランプ、小物入れ、ソケット、時計、温度計、チャイルドシートなど室内用品のほか、スキーキャリアやスノーボードのビンディングなど。製品の種類は色や素材違いのものも合わせると「ゆうに1,000種類を超える」(原子武道・董事長兼総経理)という。

製品の95%は輸出用で、残り5%は国内で販売。製品の性質上、季節限定の製品、また生産を終了しても顧客から追加注文が来る製品なども多い。多品種小ロットを目指し、同社では今年から1ライン2~3人でのセル生産方式を採用。細かいニーズに対応できる体制作りを進めている。

■品質チェック

経営陣
秋季に入り、工場では香水、灰皿、ルームミラーなどのほか、冬に向けてスキーキャリア、スノーボードビンディングの生産がピークを迎えている。香水は香料を現地調達、工場内で調合しボトルに充填する。液体タイプの香水は機械で充填するが、ゼリータイプの香水は手作業での充填。日産量はそれぞれ8,000個、4,000個を超える。

灰皿の発光ダイオードなど製品の中には電子部品が組み込まれたものも多いが、同社では電子部品の組み立てやスノーボードビンディングへのシルク印刷まで、基本的に関連部品の加工は全て工場内で行っている。

「スキーキャリアなど、品質が直接ユーザーの安全につながる製品も多い。品質チェックにには気を使っています」と古橋勝己・生産統括部長。スキーキャリアやビンディングには、工程ごとのチェックや完成品テストのほか、最終段階での抜き取り検査などで徹底した品質チェックが行われる。また工場内でも、休憩時間前に2回ベルを鳴らし、ワーカーに対し1回目と2回目のベルの間に手元の作業を完全に終えるよう指示するなど、セル生産に必要なワーカーのモチベーション維持を徹底。工程上のミスを最低限にとどめることに成功している。

アクセサリーの主な原材料である耐熱ABSは基本的に現地調達。ただスキーキャリアやスノーボードビンディングなどの原材料は、強度の問題もあり日本からの輸入となっている。現在は日本で設計した製品を中国で製造する体制となっているが、中国市場の広がりを見据え、9月には工場内に研究・開発(R&D)センターを設立。中国市場のほか、米国での展開も見据えた製品の設計や開発を行っていく計画という。

■中国での事業拡大へ向けて

カーメイトはかつて、日本で自動車用ヘッドレストやドアミラーを開発、日本のモータリゼーションにあわせて発展してきた歴史を持つ。「中国でも同様に事業を拡大してしていければ」と原子董事長。今後は内製化を進め、縫製品などこれまで手がけていなかった製品も扱っていくかたわら、国内営業のさらなる拡大を進めていく計画という。

ここ数年は中国でカーアクセサリーの生産を行っている現地企業も増えているが、原子董事長は「全てのアクセサリーを手がけている企業はまだ少ない。総合力を生かし、日系のカー用品量販店との協力も強化して市場への更なる浸透を図っていきたい」と、今後の展開にも自信をみせている。【広州・菅原湖】

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