2004/06/08

第122回 百利達健康機材<タニタ>、作るのは「健康を計る機器」



健康を計るバロメーターの一つとして、最近何かと注目されている体脂肪。東莞市南城区の百利達健康機材有限公司は、株式会社タニタの中国拠点として、体脂肪計やヘルスメーターを中心とした「健康を計る機器」を生産している。

同社が初めて東莞市に進出したのは1989年。当初は来料加工方式で業務を展開していたが、94年に形態を独資に切り替えてからは中国国内も視野に入れた展開をスタート。97年には新工場を設立、98年には北京、上海、広州に営業事務所を設立し、現在は東莞を核とした全国展開を進めている。

■一貫生産

生産現場
同社が現在生産しているのは体脂肪計、ヘルスメーター、温湿度計、クッキングスケールなど計量機器合わせて百数十種類。部品の金型からプレス成形、塗装、基盤アセンブリまで社内で一貫生産している。同社の周囲には同様の計量機器を生産するメーカーも多いが、多くが相手先ブランドによる生産(ОEM)で、同社のように自社ブランドで一貫生産を行っているところはほとんどない。「人まかせではなく自社ならではの製品を作っている、というこだわりはありますね」と同社の伊藤公治総経理は語る。

原材料である鋼材、また主要部品は日本製を使用している。「将来的には現地での調達も考慮しているが、品質と安定した供給を考えると、現在は輸入に頼らざるを得ない」。生産ラインでは、ちょうど納期の近い体脂肪計の組み立てが進められていた。マウンターでチップを組み込まれた基盤アセンブリ、またプレスされ塗装を終えたパーツが次々と組み立てられ、体脂肪計の形になっていく。精密な部分も多いだけに、工程ごとのチェックも欠かせない。強度は充分か、形はおかしくないか、正常に作動するか。特に基盤アセンブリは静電気に弱いため、担当作業員にアースの装着を義務づけるなど静電気対策も欠かせない。組み立ての終わった体脂肪計はさらに精度や強度、外観のチェックを経た後に梱包され出荷される。

生産ラインの効率向上には、常に気を使っているという同社。「ラインの様子をビデオで撮影、作業が最も早い作業員をモデルに作業方法を決定するなどしています」と伊藤総経理。生産する製品の種類が多いことから、ラインには臨機応変さが求められる。今後はさらにセルライン方式への移行を進めていく計画という。

現在の生産台数は、メーンである体脂肪計だけで月7万~8万台。製品の約90%は世界各地に輸出、ほか約10%は中国で大手スーパーなどを中心に販売を行っている。近く華南地区ではカルフールに続きウォルマートでの販売も開始する予定だ。

■中国での普及

経営陣
日本ではますます高まる健康ブームの中、普及が進んでいる体脂肪計。テレビで体脂肪に関する情報が取り上げられた後は、全国で品切れが続出したこともあった。だが、伊藤総経理は「中国での体脂肪に対する意識はまだ低い」と語る。それでも生活水準の上昇に伴い、健康に目を向ける傾向が生まれつつあることから、販売量は確実に増加しているという。

「先日も北京大学に業務用の体脂肪計20台を収めたばかり。底辺から少しずつ体脂肪の概念も普及していくでしょう。今後もそういった機関などと連携して、情報の提供などを行っていきたい」と伊藤総経理。今後については「内販の拡大とともに、肥満や体脂肪に対する意識付けを進めていきたい。中国での生活習慣病の予防、また健康維持のための力になっていければと思います」と語ってくれた。【広州・菅原湖】

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