2004/04/06

第114回 中山武蔵塗料<武蔵塗料>、製品の「色彩」を提供、創造する塗料メーカー



普段からなにげなく使っている携帯電話端末やデジタルカメラ。最近はデザインに工夫を凝らしたものも増え、さまざまな色の製品が市場に並ぶようになった。それらの製品に文字通り色どりを添えているのが、広東省中山市でプラスチック塗料の生産を行っている中山武蔵塗料有限公司だ。そのクオリティの安定度と高さから、最近は中国メーカーからの需要も増えている。

生産現場
日本の武蔵塗料株式会社の中国合弁会社として、同社が設立されたのは2000年。取引先である日系家電メーカーの中国進出増加を見込んでの設立だった。操業開始は01年から。当初はデジタルカメラ用の塗料を中心に生産していたが、中国で携帯電話の生産が爆発的に増えるにつれて、携帯電話用塗料の需要も急増。現在はデジタルカメラ用、携帯電話用、ノートパソコン用、カーオーディオ用の4種類の塗料をメーンに生産を行っている。月産量は約300トン。うち60~70%は携帯電話用という。変わったところではゲーム機用の塗料なども生産している。

■色へのこだわり

経営陣
「みなさんの身近な場所にも、1~2つは当社の塗料を使った製品があるはずです」と、同社の富澤周作総経理。03年には広東省の発展に貢献したとして、中山市の外国人としてはただ1人広東省から「南粤友誼賞」を授与された経歴も持つエキスパートだ。納入先は基本的に日本の大手メーカー、また中国大手メーカーの成型、塗装を行っている企業。大手メーカーの製品に使用されることが多いだけに、要求は非常に厳しい。

プラスチック塗料は基本的に、顔料を分散させて原色を作った後、調色を行って完成するが、同社は完成品に対し、通常の検査のほかコンピューターで光沢や色合いを分析、分析値が一定の範囲内に収まっていない製品は出荷しないよう規定している。また新たな製品用に塗料を開発する際には、サンプルを使った温度・湿度テスト、摩耗テスト、硬度テスト、電子顕微鏡での粒子確認などを行い、各種データを提出できる体制を整えている。

富澤総経理は「塗料はある意味、製品の顔となる部分。はげたり色あせたりしては製品自体のイメージダウンにもつながりますから」と述べる。日本と同レベルのものを供給するため、原材料は一部の顔料を除き、全てが日本からの輸入。「いずれは現地調達もできればと思っていますが、現時点ではまだ難しい状態」という。

塗料の開発にあたっては、メーカー側と徹底した協議を行う。製品に合う色は何か、どのタイプの塗料を使用するのか。「カラーコーディネーターとしての提案も行っています」と、同社の趙海峰営業部経理。製品の出荷後も塗装方法や仕上がりに問題がないかどうかを逐一チェックする体制を敷いている。近年は中国メーカーとの取引も急増しており「携帯電話メーカーだけでも35社が同社の塗料を採用しています」(趙営業部経理)という。また同社の製品でいま高い評価を受けているのが紫外線硬化性塗料。主に携帯電話のコーティングに使用されるもので、優れた耐久性と紫外線を10秒照射するだけで硬化する加工時間の短さから、携帯電話のコーティング塗料として広く普及している。

将来は「プラスチック塗料で業界トップになることが目標」と、富澤総経理。「プラスチック塗料市場は、塗料市場全体から見れば小さな市場。でもトップを狙える場所で1番になることは大切」という。「中国の市民の間では、いまだにメード・イン・チャイナの製品に対する信用度が低い。今後は中国を舞台に高品質の製品を作ることで、中国製品の信用アップに少しでも貢献できればと思っています」。武蔵塗料グループ全体での最終目標は「MADE IN MUSASHIのブランドイメージで、世界市場での評価を獲得すること」だという。

同社はすでに稼働している中山、蘇州のほか、年明けには昆山にも新拠点を設立。アフターサービスをさらに充実させていく計画だ。

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