2004/03/16

第111回 東莞新鋭精煕事務機<新鋭産業>、大手メーカーの事務機器を支える立役者



さまざまな工場が林立する一大工業地帯、東莞市長安鎮。東莞新鋭精煕事務機有限公司は、そこで事務機器のОEM生産やディスプレースタンドの設計・生産などを手がけている日台合弁企業だ。安定した品質と生産管理体制を見込んで、同社と取引を行う大手メーカーは数多い。

同社は2000年5月に、日本の新鋭産業と、台湾のカメラ部品大手・亜州光学の折半出資という形で設立。その後同年6月の複写機用フィニッシャー(自動整合ステイプルユニット)の生産開始を皮切りに、ADF(自動原稿送り装置)、LCD(液晶ディスプレー)用スタンドなど生産対象を次々と拡大。02年5月にはISО9001認証も取得している。

現在メーンで生産しているのは内蔵式・外付け式フィニッシャー、ADF、プリンターの両面印刷用反転機能オプション、LCD・液晶テレビ用スタンドなど。一部日本製のものも含め、部品は基本的に香港事務所を通じて調達している。また工場内では一部パーツのカシメ加工も行っている。

■ 徹底した検査体制

生産現場
製造ラインは部品数の少ないLCD・液晶テレビ用スタンドを除き、基本的にメーンのラインにサブラインを併設する形で設置されている。サブラインで板金にギアやシャフトなどを組み込んで小型ユニットを組み立て、さらにメーンのラインでそのユニットを組み合わせて最終製品にしていくシステムだ。ち密な製品が多く、小型ユニット1カ所でのミスが最終製品の不合格につながるため、細かな点検は欠かせない。同社ではユニット単位での検査のほか、実際に紙を使った通紙検査、画像検査、印刷検査を行っている。これらの機能検査にパスした製品のみが、最終的に傷や汚れがついていないかどうかの外観検査を経て、梱包され出荷されることになる。さらに紙送り機能の付いた製品は1時間に1台ランダムに抜き取られ、紙が変形しないよう温度や湿度が一定条件下に保たれた別室でA4、変形A4、A3、ハガキ、ОHPなど各種用紙を使っての通紙検査が行われることになっている。納入先はほとんどが名の知られた大手メーカーだ。

いま同社が力を入れているのが、LCD・液晶テレビ用スタンド。特にLCD用スタンドは日本の新鋭本社が設計・開発、ハイアジャスト機能によりミリ単位での高さ調節を可能としたもの。現在は15~19インチ用のスタンドを2ラインで月2~3万台生産しており、今後はさらに拡大していく計画という。

松本副総経理と塚原主任
同社のローカルスタッフは管理職も含め約200人。うち9割以上が女性だ。「女性の方が指が細く器用なため、ち密な部品の組み立てには適しているようです」と、松本暢一副総経理。同社はスタッフのスキルを4段階に分けて評価し、能力に応じてラインのどの場所に投入するかを決めることで、生産スピードを一定に保っている。「メーンのラインには、基本的に洞察力の優れたスタッフを投入しています」と同社の塚原克行主任。サブラインから流れてくるユニットにミスがあった場合、その場で発見することが何よりも重要となるためだ。ラインにはベルトコンベアではなく、融通のきく台車を採用。これによりスタッフの能力や生産台数に応じた、フレキシブルなラインの組み立てが可能となっている。

「今後は中国での内販も進めていきたい」と松本副総経理。現在力を入れているLCD・液晶テレビ用スタンドを軸に、来年には事業規模を現在の1.5倍程度まで拡大する計画という。松本副総経理は「部品加工からアセンブリまで、幅広く対応できるのが売り。日本で開発、中国で生産するという体制の利を活かして、さらに上を目指していきたい」と述べている。【広州・菅原湖】

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