2004/01/20
第104回 広州芸愛絲繊維<チッソ>、目指すはアジアNO.1のオレフィン系繊維総合メーカー
柔らかく吸収性が高いことから、紙おむつなどに広く使用されている不織布。広州芸愛絲繊維は、その原材料であるES(Ethylene―Propylene Side by Side)繊維から不織布までを、一貫生産している数少ないメーカーの一つだ。
■ES繊維と不織布 ES繊維とは、チッソが開発した熱接着複合繊維の一種。ポリプロピレンとポリエチレンを溶かして流しだし、ポリプロピレンを芯とした極細の糸を作る。その糸を加熱、延伸して強度を持たせた後に、クリンプ加工を行ってウエーブをつけ、それをカットして原綿が完成する。不織布はさらにこのES繊維の原綿を開繊しカード機で一定の厚さにした後、熱を加え、ロール状に巻いたのちカットして 完成する。立ち上げ当初はポリプロピレンなど原材料全てを日本から輸入していたが、現在は包装材料など一部を現地調達に切り替えている。現在の年間生産能力は原綿は1万トン、不織布は3,600トンに達している。 ■自主性重視 同社はカギとなる人材の教育について「自主性」をなにより重んじている。言われたことをただこなすだけではなく、自主的にレベルアップしていけることが重要。同社は各種課題について組織横断型のタスクチームを作り、実践を通じてスタッフの課題解決能力が一定レベルに達した時点 でまかせていく、という教育を続けるそのかたわら、TОC(Theory of Constraints、制約理論)を積極的に導入。在庫削減、生産リードタイムの削減、生産量の拡大などをスタッフとともに行ってきた。同社の木庭竜一総経理は「その結果、スタッフの意識もずいぶん変わった」と述べる。「著しい発展を続ける中国の中で、自分たちは今、コスト競争力を保ちながら良質な製品を作っているのだという自覚を持つようになってくれた」。現在では設備の改善などについても、現場から積極的な提案が出るようになったという。 「今後も仕事をして楽しいと思える環境を保ちつつ、スタッフの自主性を大切にサポートしていきたい。いつか日本の工場を超えるまでになってくれたら」と木庭総経理は語る。 今後は一貫メーカーとしての強みを活かし「アジアナンバー1のオレフィン系繊維総合メーカーを目指す」という。 |