2001/09/11

第6回 台湾国際角川書店<角川書店>、『台北ウォーカー』が創刊2周年



台北の書店やコンビニエンスストアで、ひときわ目立つ雑誌がある。今月17日に創刊2周年を迎える『台北ウォーカー』だ。角川書店の台湾法人「台湾国際角川書店」が1999年に創刊した同誌は、すでに情報誌のトップブランドとしての知名度を獲得。日本の情報誌文化が、台湾でも徐々に定着しつつある。

台湾国際角川書店は1999年4月に設立。資本金は約2億台湾元で、主要株主は角川書店(70%)と台湾企業の秋雨印刷(25%)。目下、日本人スタッフは塚本進総経理と奥野正広編集長を含めて3人、台湾人スタッフは40人だ。

奥野編集長(35)は、『ザテレビジョン』や『東海ウォーカー』の編集に携わり、昨年12月に『台北ウォーカー』の2代目編集長として台湾に着任。初の海外赴任だが、台湾での生活に違和感はないという。

趣味は読書と映画鑑賞という奥野編集長は、情報誌作りという仕事について、「寝ているとき以外は、何をしていても仕事のヒントになる」という。スタッフに対しては、「イメージソースを広げるためにも、基本的に遊ばなければダメ」。遊ぶという直接体験をすることで、それを企画に生かすことが重要だというわけだ。

販売部数は公称20万部

『台北ウォーカー』のターゲットは18~22歳の大学生層で、ファッション、グルメ、ドライブ、イベントなど台北を中心とした地域情報を提供している。発行日は毎月、第1と第3火曜日で、販売部数は公称20万冊。現在、全国のコンビニと書店で販売しているが、将来はさらに販売拠点を拡大する予定だ。制作は、企画立ち上げから完成まで約2カ月間。台湾は日本と違い、いわゆる下請けとなる編集プロダクションがないため、編集部が個人のフリーライターを取りまとめている。

見やすさと切り口で勝負

1999年9月17日に発売された創刊号は、創刊4日後に台湾中部大地震が発生するというハプニングに見舞われたが、あれから早2年。日本の『ウォーカー』のコンセプトを直接台湾に持ち込んだ『台北ウォーカー』だが、果たして台湾の読者に受け入れられているのだろうか?

この疑問に対し、奥野編集長から興味深い“日台情報文化論”が飛び出した。奥野編集長によれば、「日本では情報密度が、台湾では“見やすさ”が重視される」という。中国語は日本語と違い、すべて漢字の世界。しかも、台湾で用いられているのは画数の多い繁体字だ。情報をぎゅっと詰めこんだ場合、読者から「見づらい」と拒否反応が出るらしい。

また、日本では“情報の先取り”が重要なセールスポイントとなるのに対し、台湾では“特集の切り口”が勝負どころ。台湾ではまだまだ口コミ文化が根強いせいか、情報の先取りを求めて情報誌を買う読者は少なく、特集の魅力が売上げを左右するという。

台湾の雑誌文化は進化中

奥野編集長は「台湾では雑誌文化がまだ未成熟」と、日本との違いを語る。日本では過去にまず『ぴあ』が出現し、その後『ウォーカー』などさまざまな情報誌が生まれた。しかし、台湾では先駆けとなる『台北ウォーカー』や、競合誌『HERE!』(台湾東販)が出現してまだ数年。日本のような進化の過程を経ていない分、今後、情報誌がどれほど定着するかが楽しみだ。

なお、『台北ウォーカー』では創刊2周年を記念して、9月18日発行の第51号から連続3号にわたって「ドライブ」「温泉」「グルメ」と人気特集を組む。また、初のオリジナル書籍「『流星花園』完全擁有F4」を9月に発売。書籍ラインの充実も図っていく。

奥野編集長をはじめ、スタッフの多忙な日々は続きそうだ。

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