2001/09/03

第5回 豪雅(広州)光学<HOYA>、13億人の「視生活」に貢献



「一人っ子政策による子供への教育熱の高まりを受けて、中国の眼鏡人口は必ず増加します。もちろん、人々の視力が低下するのを願っているわけではありませんが――」。HОYAが、広東省は広州に設立した豪雅(広州)光学有限公司。同社では、HОYAが誇る高い技術の視力矯正用レンズを、この13億人市場に広めようとする挑戦が続いている。

豪雅(広州)光学が設立されたのは1995年11月のこと。広州経済技術開発区の建設総公司との合弁だが、中側の出資比率は5%。HОYAが経営の大部分をリードしている。

HОYAが中国で製造しているのは視力矯正用プラスチックレンズ、いわゆる眼鏡レンズだ。年産規模は2001年度計画で700万枚。原材料は100%輸入品を使用している。

製品の80%は日本や欧州、アジア、米国向けに輸出している。国内販売は20%にとどまっているが、「本来の目標は80%が内販。これから市場を拡大していきますよ」と豪雅(広州)光学の田中伸夫総経理。田中総経理によると、中国の眼鏡市場の現状はおおむね次の通りだ。

まず、眼鏡の需要は現時点ではそれほど多くないということ。ざっと見積もって、年間の需要は5,000万個、眼鏡はレンズ2枚が必要だから1億枚だ。一方の日本は年間4,000万枚。人口の比率から見ると、中国の眼鏡市場は発展途上にあると言える。

その上、中国市場ではまだまだガラスレンズが主流で、高品質のプラスチックを使用したレンズの比率は15%ほどとみられている。ちなみに日本の市場では、プラスチックレンズが90%を占めている。

高付加価値製品で勝負

豪雅(広州)光学が生産するのは全てプラスチックレンズ、それも同社の技術力を生かした高付加価値製品ばかりだ。特に眼鏡市場の一角を占める老眼鏡については「多焦点レンズ」を製造。老眼鏡には、近くを見るための単焦点のものと、遠くと近くを1つの眼鏡で見るために度の異なる2種類のレンズを1つにしたバイフォーカス(2焦点)と呼ばれるものがある。同社のレンズはこのバイフォーカスの境目を無くし、近くから遠くまでスムーズに視力を矯正することができる。また今夏からは、目に有害な紫外線を100%カットするレンズも製造。紫外線を気にする人が多い中国市場の切り札として期待されている。

少子化が追い風に

豪雅(広州)光学はこのように、中国では成長途上にある高品質市場を狙って事業を展開しているわけだが、その前途は期待できるものだという。田中総経理はその理由として、少子化による教育熱の高まりを挙げる。なるほど子供の学習時間が増えれば、必然的に視力は反比例して下がっていく。また一人っ子なら、親も「できるだけ良いものを」と考えるだろうから、価格は高くとも、より高品質のものを選択する傾向が高まるかもしれない。その他、産業構造の改革が進むにつれて、農村部の需要も掘り起こせるとみられている。

豪雅(広州)光学の設立とほぼ同時期に、北京と上海、広州市内に営業拠点が設立されている。今後はこれら拠点を通じて、製品取扱店の拡充とHОYAブランドの浸透を図る考えという。

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