2005年 2月 3日(木)

第10回 商業企業(2)[経済]


先生:以前に商業企業について取り上げ、前回は商業分野の一つであるフランチャイズ経営について勉強しました。今回は、中国のWTO加盟から3年を経過したことを考慮して、商業企業について新たな観点から検討してみたいと思います。

生徒:WTO加盟から3年を経過した2004年12月11日以降に外商独資による商業企業の設立が可能になると聞きましたが、それを確認するような法律や通知は発布されたのでしょうか?

先生:いいえ。新たな法律や通知が発布されることはありませんでした。商務部に対する事前のヒアリング調査によれば、2004年12月11日以降、新たな法律や通知を待たずに、外商独資による商業企業の設立申請を受理するとのことでしたし、実際にも既に受理された案件が複数あります。

生徒:2004年6月1日施行の「外商投資商業分野管理弁法」(「商業分野管理弁法」)については、その詳細を規定する実施細則のようなものが発布されるのであろうと考えられていたようですが、その点はどうなりましたか?

先生:それも未だ発布されておりません。近いうちに発布されるという話は去年から聞いており、今年に入ってから、いよいよ発布されると聞きましたが、いつになるのかは不明です。これが発布されれば、卸売企業や規模の大きい小売企業の設立など商務部認可項目についても、審査認可が進むものと予想されます。

生徒:商務部認可項目とその他の違いはなんですか?

先生:原則としては、省レベルの商務主管部門によって初歩的審査が行われた後、中央レベルの商務部へ提出され、商務部によって認可されます。その他に、商業分野管理弁法によって省レベルの商務主管部門に最終的な審査認可を任せている項目があります。小売企業がその所在地の省レベルの行政区域内に店舗を開設する場合において、その経営範囲がテレビ、電話、通信販売、インターネット、自動販売機による販売、図書、新聞、雑誌、自動車、薬品、農薬、農業用フィルム、化学肥料、石油製品、原油、食糧、植物油、食用砂糖及び綿花等にかかわらず、(1)単一の店舗面積が3000平方メートルを超えず、店舗数が3を超えず、その外国投資家が設立した外商投資商業企業を通じて中国において開設する同類の店舗の総数が30を超えないとき、又は(2)単一の店舗面積が300平方メートルを超えず、店舗数が30を超えず、その外国投資家が設立した外商投資商業企業を通じて中国において開設する同類の店舗の総数が300を超えないときには、省レベルの商務主管部門によって最終的な審査認可を行うことができます。これらについては現段階においても比較的容易に認可が下りている地方も多いようです。その他、中外合弁で商業企業を設立する場合において、中国内資企業又は中国自然人が商標及び商号を有しており、又は中国投資家がマジョリティを占めており、その経営範囲が図書、新聞、雑誌、自動車、薬品、農薬等(上記参照)にかかわらないときも省レベルの商務主管部門によって最終的な審査認可を行うことができます。

生徒:商務部認可項目である卸売企業については、認可が下りていないのが現状なのでしょうか?

先生:卸売企業についても申請は受理されていますが、純粋な卸売企業について認可が下りたものは未だ聞き及んでいません。

生徒:2004年12月11日以降、外商独資で設立されている保税区企業も経営範囲を拡大して商業分野に従事することができるようになったといえますか?

先生:商業分野管理弁法は保税区企業にも適用されるというのが保税区関係当局及び商務部の一部の見解です。ただし、実際のところ、保税区企業が国内販売をするためには、保税貨物を非保税化したり、国内企業との間で人民元決済を行い、人民元収入を外貨に換金して海外送金したりすることも必要になってくると思われますが、税務当局や外貨管理当局との調整が行われていない現段階においては、これらは困難であると言わざるを得ません。今後、これらの関連問題が早期に解決されるよう期待したいところです。

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